王妃 くノ一シャリカと魔女イデア 

碧い空 Lotus

第1話 王妃シャリカとシン(慎)

過去に地球に極めて似た星があった。


しかし、人類は、100年やそこらでこの星を科学的に見つけることは不可能だし、もし見つけたとしても、人体が違う化学物質でできていたり、脳のシナプスの働きが、我々人類よりも、100億倍速い可能性もあり、もしくは、100億倍遅い可能性も考えられ、人間一人の力で、その星の人々を潰してしまったり、もしくはその星の異星の一人の民の力といえど、我々人類に大変に大きな影響を及ぼしたりする可能性は、0、1%は、考えられるだろうと、異世界の科学者は予想していた。


これは、地球に極めて似た星の話である。



暦2100年、南太平洋。


其処は、チェルノブイリに汚染され、マスクなしでは肺が爛れてしまうまで大気汚染の進んだ世であった。もはや、海洋資源で取れる魚は皆無に等しく、日本という似たような名前も違う国家になっていた。


其処に讃えられているのは、仏陀でもイエスでもない。ましてや神道の神様でも、ロシア教会の神様でも中国の毛沢東のような名前でもなかった。


一般市民の心の中には、イザベラというこの世界を救った女性が、神話として語り継がれていた。


南中国、事実上日本の秘密結社が、恐れた存在は、このイザベラという女神で、それは本当は巨人によって滅んだとされる我々人類の未来を救ったとされる救世主が、この人間のイザベラという日本人と北欧の血が混ざった女性で、我々、人類の潜在意識を書き換えたとされている。


ロシア政府も、中国政府も、このイザベラという女性を中心に世界統一政府を作ることを黙認した。


というのも、世界の人工知能が、イザベラという女性にのみ反応し、イザベラのDNAなしでは、国の秩序も保てないと判断したからである。


しかし、それに抵抗するアウトローの男女の戦士たちのDNAが2人居た。


林道トヲルと茜シュラだった。


林道トヲルは、ベーシックインカムで、生活保護で暮らす、統合失調症の40代の男性であった。


茜シュラは事実上、境界性パーソナリティ障害、母親に執拗に苛めを受けながらも、父親の厳しい監視下の元、お前には絶対に結ばれてはいけない花婿がいるのだと聴かされてきた。


「だから、ジャパという国を一人の女性が救ったと偽れば、国を支配できると思った外国の企みなのです。我々の国は、万の神の国です。そして、その国の子は、AIの子ではなく、人間の子であり、科学と神の力の力比べの戦なのです」


野党の猿党党首の、林道トヲルの父、ゲンドウは、そう熱弁していた。


街ゆくモノで彼を振り返るモノは誰一人として居ない。


というのも、このジャパという国では、与党であるフリー民主党議員、1000名に対し、野党は猿党一党しかおらず、その議員数もゲンドウわずか、一人なのである。


「五大悟ルキヤさん、いつも数少ない、ご支援、ありがとうございます」


ゲンドウは、チンピラのルキヤに頭を深々とさげると、ルキヤは、涙目になりながら、「いや、こんなごじせだから、こそ、猿党は真のタカ派であり、本当は与党になるべくしてあるんよ、まけるな林道、負けるなジャパ、Come on stand up ゲンドウ!!」


「シュラちゃん、諦めなトヲルのことを」

五大悟ルキヤは茜シュラに言った。


「あたし、トヲルのことを諦めていないわ、トヲルと結婚して、嫁になるの」

ルキヤは悲しそうに


「シュラちゃん、それは無理ってもんだ」


シュラは頑なに


「いいえ、私、アキラメナイ」


「この大ばか者、恥さらし、売国奴」


そう姑の和子に言われ和子にシュラはひっぱたれ、涙を流しながら、ルキヤは優しく、そんなシュラを抱きしめた。


ルキヤさんは、林道トヲルを殴った。


「お前、いつまで逃げているつもりなんだ。シュラちゃんの、少しは味方になってやれよ」


林道トヲルは言った。

「ルキヤさん、わかっているんだ。ルキヤさんの気持ちは痛いほど。しかし今は」

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