第16話
春香の手作りの生姜焼きはとてもおいしかった。
思わずご飯のおかわりまでして食べてしまったほどだ。
ぽちゃんとお風呂に水が跳ねる音が聞こえた。
そう、俺は風呂に入っている。
春香が掃除して、春香がお湯をため、春香が入浴剤を入れてくれたお風呂に一番風呂で入っている。
こう考えると俺って本当に何もしていないな。
「ふぅぅ。」
思わず息が漏れる。
緊張するシーンもあったし、思った以上に疲れていたのだろう。
家に春香と二人きりで過ごしていると、結婚したらこんな感じなんだろうかと思う。
まぁ、だとしたら俺は家事を何もしない男になってしまうが。
目を閉じて湯船につかっていると、ドアが開く音がした。
春香が何か用事のためにあけたのかと目を開けると、圧倒的な肌色だった。
肌色の進撃が始まる。
肌色といっても、絵の具の肌色ではなく、色白の綺麗な肌色が近づいてくるのだ。
柔らかそうな肌に目を奪われた俺は何も言えなくなった。
勿論、胸元や股のあたりは手で隠しているが、タオルを巻くでもなくただただ晒される美しい肌に生唾を飲み込み凝視するほか、俺にできることはなかった。
春香の裸を見るのは、小学生以来だった。
「真一、私も一緒に入る。」
「いや、あの、タオルとかは?」
高々普通の一軒家程度の風呂場など大きさはたかが知れている。
その風呂場の中に入るということは、かなりの至近距離に来るということだ。
「お風呂入るときにタオルなんて巻かないでしょ?
真一だって巻いてないじゃん。」
「いや、確かにそうだけど。
恥ずかしくはないの?」
好きな子の肌から、目を話せるものがいるだろうか、いや居ない。
ラブコメの主人公ならば、目をそらして縮こまるのだろうが、俺はそれをする気はない。
見れるものは見るし、見せてくれるというなら心置きなく見る。
「恥ずかしいけど。この後見せるから。
それに、せっかくだから一緒にお風呂入りたいなって思って。」
春香の胸元を隠していた手が離れ、その大きな胸を開放する。
大きいのに垂れることなく、美しい形を保っている胸に俺の目は釘付けだ。惜しむらくは、シャワーの勢いによって時折見えなくなってしまうことだ。
「私も湯船に入るから、場所あけて。」
シャワーでさっと体を流した春香の声に我に返る。
しかし、我が家の湯船は一般的なサイズ。
さすがに、高校生二人が余裕で浸かれるサイズはない。
「えっと、俺上がろうか?」
火r打を洗うのに上がってしまえば、春香もゆったり入れるだろうと、立ち上がろうとしたのだが。
「いいの。足を広げて?
そしたら、間に入るから。」
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