第12話
手をつないだまま、目的の店の中に入る。
ジーンズがメインで売られているお店で、割とどこのショッピングモールやIE〇Nなどにもよく入っているお店だった。
「ここ?」
ここなら、俺も何度か来たことがある。
高校生から大人まで誰もが来ることができるお店だ。
「うん。ここが、一番一般的かなって思うんだよね。
ジーンズは普段着でも着やすいし、一枚はいるかなって。」
手際良く3種類くらいのジーンズを手に取り、俺に渡してくれる。
サイズを見ても自分のサイズとぴったりだった。
試着室で着ては春香に見せを3回繰り返した後、春香は2枚目に着たブルージーンズを選んだ。
あんまり、俺が持ってない色合いのジーンズだ。
「よし、次はシャツを見に行こう。」
そこからは、別に語る必要はないだろう。
春香が選んだ服を試着して、春香が買う服を決めるの繰り返し。
時には何も買わずに店を出て、次の店に向かう姿には歴戦の雄姿を感じざる負えなかった。
「やっと終わった。」
気が付けば、夕方だった。
ショッピングモールについたのは昼頃のことだったはずだ。
「んー、楽しかった。」
春香は軽く背伸びをするように右手を上げながら満足そうにつぶやいた。
「春香、クレープでも食べてく?」
「食べる。」
結局、服を試着する時間以外は恋人つなぎで手をつないでいた。
今ももちろん、手をつないだままだ。
「今日は何のクレープにしようか。」
甘いものは俺も春香も好きだ。
「チョコバナナのやつにする。
真一は、いちごのやつにして欲しい。」
いつの頃からか、二人で分け合うために春香の指定したものを食べるのが当たり前になっていた。
別に無理をしているわけではないが、何となく春香が喜ぶならと思ってしまうのだ。
「わかった。それにしよ。」
クレープの店の前は高校生くらいの女性たちによって数人の列ができていた。
数分で順番が来て、予定通りのメニューを頼んだ。
目の前で手際よく作られていくクレープはおいしそうで、やっぱり楽しみだ。
焼きたてのあったかい生地に生クリームやフルーツが乗り、巻かれればきれいなグラデーションがおしゃれだ。
二人で分け合いながら食べるクレープはやっぱりおいしいし、幸せだ
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