第4話 どうして助けてくれたの

「わかっただろ。獣族がひとりで旅をできるほど、安全じゃないんだ」


「……」


「首都から離れれば、人も少なくなるが、ここらはまだ冒険者たちが多い」


「……あんたはどうして助けてくれたの」


「…え?お前な、あいつらに連れて行かれたらどうなるのかわかってるのか?奴隷だぞ。人間の奴隷よりももっとひどい目にあうんだ」


「それがあなたにとって、同族の人間を殺す理由になるの」


「お前から見たら、俺もヤツラも同族かもしれないが、全然別だ。人さらいをするようなヤツラは死んで当然の人間だ」


「……それでも、あなたが危険を犯してまで戦う理由があるとは思えない」


「……ああ。わかったよ。俺も善意だけで助けるわけじゃねえ。お前を無事に届ければ金がもらえる。奴隷商人に売るほうが手っ取り早いだろうが、おれはゴロツキとは違うんだ」


「……そう……」


「……お前、獣族のお姫様だろう。親衛隊だったときに顔を見たことがある。王の結婚式に客として参加していた。あいにく親衛隊を首になって仕事がないんだ。押し付けがましいだろうが勝手に護衛をやらしてもらうぞ」

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