線の柔和なあどけない顔にオトナのカラダが続く。ボリュームのある胸と尻。それを繋ぐ細いウエスト。美容ナノマシンが創り出した異様なアンバランスだ。ロリコン野郎なら
凪沙は
「非公式エージェント、
照会されたシュウのデータが入室前に届いていたのだ。
ゼロ課のセキュリティをくぐり抜ける──凪沙の後ろに控える裏組織は、それなりの大物だ。
「フツーのサラリーマンみたいだね。エージェントのブーステッドマンって、もっとハデかと思った」
「マントでもなびかせて登場すりゃ良かったか?」
最も売れている型と色のスーツ。それがエージェントの衣装だ。政府の
不良娘を前に、シュウは奇妙な感情に捉われていた。懐かしいような、心なごむような…… これが初対面だというのに。
氷を鳴らして凪沙がボトルを取り上げた。
シュウは自分の前に置かれたグラスを手で塞ぐ。
少女は口を尖らす。「おもしろくねえヤツ」ヴーヴ・クリコ のロゼを自分のグラスに注いだ。
「アンタさあ──」細身のグラスを一息で干す。「楽しい?」
そう訊かれて思わず笑った。
「何がおかしい?」
「一生懸命楽しもうとしてるわけだ、キミは。だから
「いいじゃんかよぉ、どうせ、どうでもいいんだから」
〈どうでもいい〉、〈どうにもならない〉、〈退屈しのぎ〉、こんな言葉が人類の常套句になってしまった。あの〈喪失の日〉から──
中国と米国がそれぞれ主導する二つの
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