第5話 それから
役人から女子高生が分裂するという超常現象の発端を聞いてから1年が経過した。
異常事態を察知した世間はようやく反応を示した。
マスコミが騒ぎ出し、市民は困惑する。暴動が起き、国は大混乱の最中だ。
一方の女子高生はこちらが何もしなければ、危害を加えるつもりはないようだ。
「役人、最近の個体数の増減はどうだ?」
「北関東での増加傾向がみられます。23区内では規制が引かれたお陰で減少傾向にあります。これも壇ノ浦様の活躍あってです」
「仕事だからな」
壇ノ浦は現在、増殖した女子高生を減らす仕事を生業とし、増殖する女子高生の討伐体で隊長を務めていた。1年も女子高生と対峙していれば倒し方ぐらい確立可能だった。あとは班員にやり方を伝授すればいい。
問題は、女子高生側が独自に組み上げたネットワークによって壇ノ浦がどんな手で攻撃してくるのか学習されている点だ。最近では討伐個体数の多い壇ノ浦の姿を見ただけで逃げ出す女子高生まで現れてしまった。
「壇ノ浦様」
「なんだ?」
「もう少しだけお願いできますか」
「金を貰えるならな」
「いまの円の価値なんて地の底ですがね」
「金は金だ。そんなに気にしちゃいねえさ」
壇ノ浦は煙草に火をつけると大きく煙を吸い込んだ。
「どうぞ、これを」
役人は壇ノ浦に3つの銃弾を手渡した。弾頭が青色に塗装されている特徴的なものだった。
「これは自己増殖を大きく促す新薬を配合した銃弾です。テスト段階なので3発しかありませんがね」
「ほう」
「これを彼女たちに打ち込んだ後、自己増殖をする程度のダメージを与えてください。すると、新薬の効果で自己増殖機能が膨大化して、結果的に自己崩壊を起こします」
「オーバードーズみたいなことか?」
「まあ……そのようなものですね。この銃弾の開発が上手く進めば彼女たちの根絶も夢ではありません」
「そいつはぁ……期待しておくぜ」
半分ほど残っている煙草を地面に投げ捨てると、バイクに跨って走り去った。
<あとがき>
次回、むちゃくちゃな最終回と思われる。
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