第60話 期待しちゃうなぁ~

 あーだこーだ言い合いながらも、俺達はプリクラコーナーに移動した。

 遊園地、カップルが多い場所だからか、無限と置いてあるプリ機。


「今日はこれがいい!」


「いや、言われても分からん」


 機械によって盛れ度が違うとは前聞いたが、全く分からない。

 どれも同じに見えるからな。


「じゃ、中入って早速撮ろう!」


 400円を入れて、設定をカップルモードにすると、せっせと中に入っていく椎名。

 さりげなくカップルモードにしてるのが凄い。

 俺に断りもせず、何食わぬ顔でしてたからな。本当にプリクラ売りさばいてやろうかな。


「久々だね、プリクラ撮るの」


 荷物を置きがなら言ってくる椎名。


「前回は散々だったけどな」


「それがごめんて~、あれは全部私が悪かったから~」


「もうそこまで気にしてないけど」


「それならいいんだけどさぁ~?」


 前髪を整え、スマホをスマホホルダーにセットする。


「あのさ、プリクラを撮る俺達を撮って意味あるわけ?」


 よくTikTokとかに上がってるけど、あれをして何になるのか。イチャイチャをアピールしたいだけだろあれ。


「思い出だよ~、プリクラだけだと動画に残らないからさ」


「写真だけでいいだろ」


「よくない!動いてる作くんを捉えたいんだから」


「意味分かんな」


「要するに、出来るうちに作くんとの思い出を撮っておきたいの」


「できるうちって、これからもまとわりつくだろお前」


「ううん、その話を今日しようと思ったんだ」


「…………え?」


 目線を逸らし、髪をクルクルといじる椎名に、俺は自然と声が出る。


「私もさ、そろそろケジメを付けようと思ったの。作くんの為にさ。私だって色々考えたんだからね?これからの事を」


「…………………。」


「内容は観覧車行ってから話すけど、作くんにとってはいい内容だと思うから期待しておいてね。そのための思い出作りなんだから」


「俺もっ!」


 刹那、声を張る。


「俺も、椎名と同じで、これからの事を話そうかと」


「なに~?作くんも私とおんなじこと話すんだ~」


「内容は、観覧車でだけど、こっちも椎名にとっていい内容だと思うから期待しておいてほしい」


「んっ…………いい内容かぁ~、それは期待しちゃうな~」


 あからさまに頬を赤く染めると、照れ隠しに俺の頬を突く椎名。


「調子に乗るな」


「あうっ」


 と、これ以上調子に乗らないように頭にチョップする。


「ちょ~、せっかく髪セットしてたのに~!」


「お前が悪いだろ」


 目を><としながら肩をポコポコ叩く。

 こうゆう時の初々しい表情を普段からして欲しいものだ。


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