第43話 高校生デートの鉄板
「さぁ!出発だ~!」
「朝っぱらから人の家の前でうっせーよ」
翌週の土曜日。
椎名の仕事についていく日が来た。
早朝5時、眠い目を擦りながら支度を済ませ家を出ると、既に椎名は仁王立ちして待っていた。
「作くん~、もうちょっとテンション上げていこうよ~」
「眠いし乗り気じゃないから無理」
「私の可愛い仕事姿が見れるんだよ?楽しみじゃないの?」
「自分で可愛いとか言ってる時点で萎える」
自分で自分の事を可愛いとか言ってる女子は普通に引く。
まぁ、自分が可愛いと認知しながら自分より下の人を可愛いとか言ってる方が引くがな。
「集合6時半だからとりあえず出発するよ!」
「はいはい」
と、椎名に手を引かれ、駅までの道を歩き出した。
相変わらず周囲の視線が気になる。
早めの出勤のサラリーマンや、朝練に向かう部活高校生など、結構な人がいる。
しかも、真面目そうな人だからいつもより引かれた目で見られてて心臓をえぐられそうだ。
駅に着き、快速急行に揺られること約10分。目的地の最寄りの駅に到着した。
「作くん」
「なんだ」
電車の中から腕を掴まれてる俺は、ジト目で椎名を見る。
「まだ集合まで時間あるじゃん?」
「仕事くらい早めに現場入りしといたほうがいいんじゃないか」
「いつも20分前くらいに入ってるよ~、でも今はまだ40分はゆっくりできるよ?」
「どうせホテル行こうとか言うんだろ?」
「なんで私の考えてる事が分かるの!?」
「はぁ……………狂ってる」
仕事前にホテルで一発シようとしてるとか、マジで頭がおかしい。
思考回路が相変わらずバグってる。
「まぁ、ホテルは無理だとしてもさ~?お腹は減って来ない?」
改札を通り過ぎると、俺の前に出てきた椎名は小首をかしげる。
「…………確かに腹減ったな」
起きてから朝ごはんを食べる時間はなかったし、お昼頃まで食べれそうにない。
「なら、高校生デートにふさわしく、ついでに美味しい物も食べれる所に行かない?」
「大体検討はついた」
高校生が放課後や朝に寄る場所。
少し高めなそれだが、ドリンクもスーツもピカイチの美味しさだ。
その正体は…………
「スタバ、寄ろうよ!」
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