第41話 お泊りエッチコース

「お前今度やったらぶっ殺すからな」


 あれから数時間。

 俺と椎名は帰り道を歩いていた。


「次からはちゃんと作くんの許可を取ってからするよ」


「俺が許可すると思うか?てかそもそもするな」


 あの断末魔から数秒後、先程現れた葉月が美帆と佐那を連れて戻ってきて椎名を取り抑え、なんとか最悪はま逃れた。


 あと少しでしゃぶり尽くされるところだった。でも必死に内股にしていたおかげで勃ってるのがバレなかったのは不幸中の幸いかもな。


 結局その後、みんなの元へ戻り、カラオケを楽しんだあとで今の状況に至る。

 帰りも本当は一人で帰りたかったのだが、案の定椎名に捕まってしまったって訳だ。


「付いてくるなよ」


 ウキウキで隣を歩く椎名を細い目で見る。


「そんな事言われても家が向かいなんだから帰り道が一緒なのは仕方ないでしょ?」


「わざわざ俺が遠回りして帰ってんのに付いてくるなよ」


 お前と一緒に帰りたくないからこの道を選んだのに、いちいちついてくるなよ。

 家にくらい最短距離で帰れ。


「やっぱ作くんと帰りたいんだよ~」


「家にくらい一人で帰れ」


「彼氏と一緒に帰るってさ~、青春じゃん?」


「誰が彼氏だ」


「それにさ~ぁ?「今日、家誰もいないんだ」ってお泊りエッチコースな可能性もあるわけじゃん」


「皆無だなそれ」


 そもそも家が向かいにあるんだから俺の家に泊まる必要性などない。自分の家で寝たほうが熟睡できる。

 決定的なのは彼氏じゃないし。


「いいじゃ~ん、お泊りコースにしようよ~」


 腕に抱きつき胸を押し付けてくる椎名。


「絶対にイヤだ」


「作くんの親に言ったらOKしてくれるよ?確実に」


「そうだろうけど、俺がごめんだ」


 もし、椎名が俺の家に泊まるとなると、親は喜んでいらっしゃいと玄関を開けるだろうな。

 それに、豪勢な夕食まで用意して。

 椎名が俺に泊まったのなんか3~4年前が最後だったな。こいつの頭がおかしくなる前の話。


「…………まぁ泊まるのは諦めてあげてもいいけどさ、その代わりに一つお願いがあるんだけどいい?」


「ヤダ」


「聞いてから否定してよ。否定する内容じゃないと思うけど」


 聞く前から大体検討が付いてるから最初から断ってるんだろうが。


「来週さ、私の雑誌の撮影があるの」


「おい勝手に話を進めるな」


 こいつ鼓膜ついてないんじゃないのか?それか都合の悪いことが聞こえない感覚神経なのか。


「雑誌の撮影さ、久々の外撮影なの。それも都内にある広い公園」


「それと俺になんの関係があるんだ」


「だからさ、その時私の付き添いとして来て欲しいの」


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