第40話 攻めすぎだろ!

「待て待て待て待て!なんでそうなるんだ!?」


 体をバタバタとさせながら、顔を背ける俺。


「防音の薄暗い室内で、ピンクのライティング、エモい曲がBGMとして流れてたらそれしかないでしょ」


「お前がピンクに照らしてBGMはお前が勝手に流してるだけだろ!防音はカラオケだからだ!」


「せっかくムード作ってあげたんだから乗りなさいよ」


「こんな無理やりされて誰が乗るか!普通にしてても乗らないけど!」


 そもそもカラオケでスるとか頭おかしいだろ!よく高校生がカラオケでしてる所を店員とか通り過がった人にバレて学校に通報されてるだろ。

 それか隠し撮りされてツイッター保存ランキングで有名になるか。


「もうさ、諦めなよ作くん」


 俺のベルトに手を掛けると、カチャカチャと外し始める。


「ど、どう考えても諦めないよ!?絶対に諦めないからね!?」


「ここまで来たら逃げようがないと思うんだ?」


「お前が疑問形で言っても、俺は逃げ出すからな」


「もう無理だって、諦めようよ」


「敗北に誘導させようとするな」


「もう、なら私が先に脱げばいいって事ね」


「話が全く嚙み合ってないんだが?」


 椎名は俺の腰から手を離し、自分のワイシャツのボタンを外し始める。

 胸辺りを外すと、暗闇でも目立つ赤の下着が見え始める。


「どう?今日は攻めてみたんだけど」


 肩からワイシャツを脱ぐと、自慢げに胸を開く椎名。


「ブラの前に行動が攻めすぎだ!」


「作くん、目を逸らさないで私を見てよ」


「人の話を聞け!」


 無理やり俺の顔を胸の前に向ける。

 目に映るのは、白く艶とハリがあり、美乳という言葉が相応しい胸。

 それを包む灼熱の赤色をしたブラ。


 だが、気になるのは上だけではない。

 下半身、俺の太ももに伝わってくる熱。それは椎名のスカートの中から放出されているものであった。


 完全に発情してやがるぞこいつ。目が完全にキマッてる。


「さぁ、作くんの立派なのを私にご奉仕させなさい!」


 よだれを垂らしながら俺のパンツに手を掛けたその時、


「もしかしてここに居たり――――――」


 突然ドアが開き、救世主が登場した。


「は、葉月!!」


 涙目でドアの方に目を向けるが、


「あ………うん。そうゆう事か」


 抑揚の無い声で言う葉月。


「おいお前、盛大な誤解をしてるぞ?」


「いや~、はい」


「おい静かにドアを閉めるな!」


「うん、分かったから……」


「ちょ!助け――――」


「…………ごゆっくり~」


 目を逸らすとゆっくりと扉を閉めた。


「待て!おい!!」


 と、絶叫する俺だったが、


「もう邪魔はこないよ……………さぁ、私と一心同体になろ?」


「誰か!助けてくれ!!!」


 断末魔は、防音の壁に吸い込まれるのだった。





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