第31話 雑誌インタビュー

「ふぅ~………そろそろ止めるか」


 椎名を追い払ったあと、無心でゲームをしていたら日付をまたいで時刻は12時半になっていた。

 そろそろ寝よう。今日も学校あるし。

 俺はベッドに横たわると、ゴロゴロとしながら雑誌を手に取る。


「マジでモデルなんだなあいつ」


 読んでるのは、椎名が表紙になっているファッション雑誌。

 帰るときに気になってコンビニでつい買ってしまった。


「写真とかじゃなくてインタビューも載ってるんだな」


 ぺラペラと眺めていると、インタビューのページが目に留まる。


『モデルの雪穂さんに電撃インタビュー!』


 との内容であった。


 取材者『恋人は今いますか?』


 雪穂『はい、同じ年の彼氏がいます』


 俺「……………………。」


 取材者『その人はどういったお方なのですか?』


 雪穂『彼は優しくて、私の事をいつも考えてくれる紳士です。それに、幼馴染で家まで隣なんですよ』


 俺「……………。」


 取材者『そ、それは凄いですね。まさに運命の人ですね』


 雪穂『はい!運命です!一生彼とは離れません!』


「………………これ俺のことじゃね~かよ!」


 俺はベッドから飛び上がると床に雑誌を叩きつける。

 あいつ何を話してるんだよ!しかも全世界に発信される場所にさ!


 学校で付き合ってるとかを言いふらすのはたかが知れてる……………いや、それもヤバいけど!


 雑誌の取材で言うのは流石にブチギレ案件だ。

 ゼェゼェと荒い息を吐きながら、すぐさまスマホを取り出し、ブロックしていた椎名のLINEを解除すると電話を掛ける。


「出ろよ―――あいつ」


 夜中だろうが関係ない。

 今、電話越しでもいいからこいつにブチギレないと気が済まない。

 3コールほど鳴ると、


『どうしたの作くん~、もう夜中だよぉ~?』


 あくびをする呑気な椎名は電話に出た。


『お前、あの―――――』


『もしかして~、寂しくなっちゃったぁ~』


『一回黙って俺の話を聞け』


『もう~、しょうがないから聞いてあげるよ~』


『雑誌のインタビュー!……………てめーやったな』


 声を抑えながらも怒鳴り、床にある雑誌を踏みつけた。

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