第24話 綺麗にしてあげるんだよ?
「お前バカ言ってんじゃねーよ!」
「バカじゃないよ、私は本気だよ」
「そんくらい自分で取れるし、キスで取るって意味わかんないんだけど」
そもそも俺の歯には何も詰まってないし。
「作くんにキスしながらお口の中綺麗にしてあげるんだよ?私の舌で」
「頭おかしいんじゃないのか?」
「そう?カップルなら普通にすると思うんだけど」
「根本的にダメだった」
何百回、何千回言ったらこいつは俺と付き合ってないことが分かるんだよ。
言うのも疲れてきたんだが?
「作くんの汚れ、私に取らせてよ」
そう言いながら目を閉じ、唇を近づけてくる。
非常にまずい。椎名が女子とは思えない力で俺の顔をホールドしてるから逃げられない。
考えろ、この状況を打開する方法を。脳をフル回転させる俺に、あるアイデアが思いつく。
人差し指と中指で唇のフェイクをすればいい。いやこれはダメだ。
椎名は確実に舌を入れてくる。てかそれ目的だ。一瞬でバレてしまう。
なら…………永久的に黒歴史をモノとして残すハメになり、そのモノを椎名にヤバい事に使われそうだが、これしかない。
「プリクラ!…………プリクラ一緒に撮ってあげるからやめてくれ!」
それを聞くと、あと数センチで俺の口が終焉を迎える所で椎名は止まった。
「ど、どうだ?悪くない提案だと思うんだが………」
手の力が弱くなったので、慎重に手を退かし顔を離しながら言うと、
「プリクラ…………今、プリクラって言ったよね」
低い声をしながら俯く椎名。
「言ったけど、ダメだったか」
失敗だったか…………流石にプリクラだけじゃキスには勝れないか。
こうなったら覚悟を決めよう。
俺はそっと目を閉じキスに備えるが、
「作くん私とプリクラ撮ってくれるの!?」
瞼の向こうから明るい声が聞こえた。
目を開けると、ピョンピョンと小さくジャンプをしてなんとも嬉しそうな表情をする椎名があった。
大成功のようだった。
「ま、まぁプリクラくらいなら…………」
キスよりは断然マシだし。直接俺に危害が出るわけでもないし。
椎名の舌で俺の口の中を舐め回されるとか一生のトラウマになりかねない。女性恐怖症になる。
黒歴史がモノとして出るのは嫌だが、キスよりはマシだ。うん。
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