第18話 どんだけ付けてるんだ

「どこにだ」


 それを聞くと、椎名を怒らせないように温厚だった俺の顔も、鋭くなる。


「おい、どこにGPSを付けてる」


 声を低くして睨みながら言うと、


「それは言わないよ、取られたくないし。それに一個見つけた所で意味はないよ?」


 と、笑顔で俺の鼻尖をちょんとつつく。


「スーっ、フゥ…………」


 一度深呼吸をして、キレそうな気持ちを抑える。

 さっきまで怒らせないよう温厚に接していた俺がバカみたいに思えてくる。

 でも、ここで怒らせたらさっきよりおぞましい光景が鮮明に想像できるので堪えるが。


「GPSを付けられてるとさ、俺が不安になるから外して欲しいんだけど」


「不安?何が不安なの?」


「ずっと監視されてると落ち着かないんだよ」


「私は作くんにずっと監視されてる方が落ち着くんだけど?」


「お前と一緒にするなこのメルヘン女」と言いたいのを抑え、


「GPSを付けてると、逆に椎名と離れたくなるから外して欲しい」


「ということはだよ?GPSを外せば作くんは私と一緒に居たくなるってこと?」


「…………か、可能性は上がるな」


 何言ってんだ俺!


 その場しのぎとはいえ爆弾発言してないか!?ヤバい事になりそうだぞ!


「ホント!?なら喜んで外すよ!」


 椎名はパァと顔を明るくすると、「じっとしてて」と言いながら、俺の体を触り始める。


「えーっと、ここと、ここと、ここと―――あ、ここも………これもそうだ」


 ブツブツと言いながら、どこからともなく俺の体からGPSが外れていく。

 第二ボタン、襟の裏、靴中の側面、バッグの小さいポケットの隙間。

 こいつ、どれだけ付けてたんだよ。普通一個とかじゃないのか?念には念をって言うレベルじゃないぞこれ。


「これで全部だよ~」


 全て外し終えると、椎名はそれらをバッグにしまう。


「ホントにこれで全部だよな?もう一つも残ってないよな」


 自分の体を触りながら確認する俺に、


「疑わないでよ~私、作くんに嘘ついたことないでしょ?それで全部だよ」


 …………言われてみれば、こいつは俺にしつこいしめんどくさいが嘘を吐いたことは一回もない。


 どんなえげつない事をしたって、包み隠さず言っている。俺はドン引きすることでも。


 これは……………信頼してもよさそうだ。





更新遅れました。すんまへん

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