第17話 GPS、付けてるから!

「お前の言い分は分かった、逃げたのは申し訳ない。でも俺の位置情報を知ってるのとは関係ないだろそれは」


 ゆっくりと刺激しないよう、椎名の手を退ける。

 すると、悲しそうな目をしながら、


「だって…………作くんが傍にいないと私不安になるの……………」


 谷間を見せながら上目遣いをしてくる。


「いや、それとこれとは別の話だろ」


 真顔で言うと、


「別の話?」


 再度、椎名の目は光を失った。


「あ、いや、何でもない」


 どうしよう、下手に喋ると地雷を踏む。

 かといって喋らないと殺される。これは詰みなのか?

 いや、ちゃんと考えて話そう、これは俺の命の為だ。


「不安になるのは理解した。でも位置情報を見なくてもちゃんと頼んでくれるならば俺だってそれ相応の対応はするぞ?」


「私はいつも頼んでるじゃない」


「頼んでると言うより、強引に押し付けてるから俺は避けてるだけなんだが」

「そんなに私強引?」


「ま、まぁ……………これは周りの人に聞けば分かるけど相当強引だぞ」


「そ、そっか…………」


 しゅんと肩を竦める椎名。

 よし、このまま行けば大丈夫そうだ。あとはヘマをしなければ完璧。


「それでさ、位置情報の件教えてくれないか?そっちのほうが俺も安心できるし、お前も要らない心配しなくていいだろ?」


「言ったら作くんは私と居てくれる?」


「…………善処はするよ」


「ホント?」


「――誓うよ」


 絶対に一緒にいるとは言ってないからな。あくまで善処するだけだ。


「それで……………許してくれるか?」


 引き気味にそう聞くと、


「もちろん!大好きな作くんを許さないわけないじゃない!」


 と、満面の笑みで俺の腕に抱きついてくる椎名。

 これは許されたらしい。いつもはクソほど嫌だが、今はこの反応が安心する。


「でね?なんで作くんの位置が分かるかって言うとね~」


 椎名はスマホを取り出し、なにやら操作をするととある画面を見せてくるかと思うと、


「GPS、付けてるから!」


 ニパァと光り輝く笑顔で言った。

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