第19話 ナ・イ・ショ
肩の荷は外れた。
だが、次に気になることがある。
「さっきからずっと気になってたんだが、そのジップロックに入ったポップコーンはなんだ?」
映画が終わってから今までずっと手に持ってたけど、一体なんの為のモノなんだ。
手を見つめながら言う俺に、
「あ、これ?さっき作くんが食べてたやつだよ?」
ジップロックを頬に付けると、小首を傾げる。
「は?」
「だから、さっき作くんが食べてたポップコーンだって」
「そうじゃなくて、なんで食べないでジップロックに入れてる」
「だって作くんが素手で掴んだよ?その手と口で触ってるんだよ?さて、問題です!
なんで私はジップロックに入れているのでしょう~」
「今それを聞いてるんだが?」
「正解はぁ~…………作くんの遺伝子が付いてるから保管するためでした~」
「…………………。」
陽気にサイコパス発言をする椎名。俺はその場に立ち竦み絶句している。
どうゆう人生を歩んだらこういった思考になるのか謎過ぎる。
俺は中2までは仲がいい幼馴染としてほぼ毎日一緒に過ごしてたんだけどな、隣でこいつの生活を見ていたつもりなんだけどな。
中2からの2年間でこうも人間は変わるものなのか。その間も俺にへばり付いていたんだけど、
ここまで異常なのには気付かなかった。
行動がエスカレートしているのは気づいていたが。
「それでね、私がこのポップコーンを食べない理由なんだけど~」
「いやいい。聞きたくない」
「使うんだよ、このポップコーン」
「…………………それ以上口を開くな」
「でも、このポップコーンを使って私が家でスることは…………ナ・イ・ショ」
少し頬を赤らめながら、唇に人差し指を付ける椎名。
…………そんな事知りたくもないし考えてたくもない。おぞまし過ぎる。
「ん~、作くんがそんなに知りたいっていうなら教えてあげるよ?私もそこまで鬼じゃないからね~」
「言うな、絶対に、い・う・な!」
念を押して怒鳴ると、
「そ、そう?…………作くんが裏でコソコソされてるのが興奮するんだったらいいんだけど」
「……………もうそうゆう事にしてくれ」
大体こいつがすることの検討は付く。
持って帰った(俺の遺伝子付きポップコーン)を自分の子宮まで入れて、妊娠ごっこをするつもりだ。
しかも、それをやった翌日にまたネットで拾ったエコー写真を持ってくるだろう。
これが予想できるからこそ、俺は聞きたくないんだ。
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