第12話 NTR趣味?

 さて、どうにかしてこいつを撒かないとな。

 位置情報は切ったし、一回振り切れば十分可能だ。

 まぁ一回逃げた所で学校で会うのは避けられないし、そっからもくっつかれるのは目に見えているが、少しでも俺は心の休憩をしたい。


「一回離れろお前」


 腕から椎名を引き剥がすと、3歩ほど下がる。

 とりあえず、距離は確保。あとは逃走経路を頭の中で確認して逃げるだけだ。


「え~なんで離れるのよ~。くっついて電車乗ろ~よ~」


「断る」


「じゃぁ、私が太ったおじさんに痴漢されてもいいの?」


「うん、いい」


「なら、その後誘拐されてシャブ漬けにされて、レイプされ続けてもいいの?」


「大いに構わん」


「それじゃぁ、その後におじさん集団に囲まれて、私は四肢を縛られおじさんちん―――――」


「おーけもうなにも言うな」


 椎名の話に俺は口を挟んで止めた。

 これ以上口を開くと爆弾発言が止まらくなる。それに……………相変わらず周りの視線が痛い。


「え~、なにあのカップル~」「今、レイプとか言ってなかったなあの女子」「しかもめっちゃ可愛いし」「ヤりて~」などとあちこちから声が聞こえるし。


「もう、彼女である私がレイプされても作くんはいいってことね」


 プイっとそっぽを向く椎名。


「付き合ってないし、お前が誰に犯されようが知ったこっちゃない」


「作くんもしかして……………………NTR趣味?」


「ちっげーよアホ!お前そろそろキレるぞ!」


 首を傾げる椎名に絶叫すると、


「もうキレてるじゃん」


 と、細い目をする。


「やっぱ作くんは寝取られは嫌だよね~、私を自分のモノにしたいのよね~。独占欲強いんだから作くんは」


 両手で頬を抑えながら、くねくねと体を動かす椎名。

 俺は一度だってこいつがどういった思考でこの考えに至るか分かった事がない。

 分からないのが一般人なのだろうが。


「てかさりげなくくっ付いてくるな」


 強引に腕に抱きついてくる椎名を、俺は全力で引き剥がす。

 手を退けてもまた掴んでくるし、頭を押してもくっ付いてくる。人間版ひっつき虫だな。


 しかしこの絵図……………傍から見たらホストとそのホストに依存するホス狂みたいだな。


 要するに、注目を浴びるし、カオスって事だ。

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