第11話 プライバシーは無い
「おまっ!?なんでここにいんだよ!」
俺は反射的に立ち上がり、距離を取る。
声を若干変えてたから最初椎名だって気付かなかった。
驚きを隠せない俺に、
「え? ずっと家からここまで作くんの後ろついて来たけど?」
「は?」
「だってさぁ~? 私が急いで家を出て、作くんの位置情報確認しても家にいるって
表示されるし。作くんが家を出てくるの待ってたんだよ?私」
「位置情報?」
「そう!いつどこで何をしてるか分かるように作くんのスマホに入れておいたの!あと浮気防止!」
俺はすぐにスマホを取り出し、位置情報アプリを探す。
うまい具合に隠されていた位置情報アプリを見つけ出すと、速攻アンインストールする。
これで位置情報漏洩の不安は消えた。
「お前、犯罪だぞこれ。それに俺にプライバシーは無いのかよ」
「作くんのプライバシーは私のプライバシーでもあるの!だから検索履歴とかもすべてバックアップ取ってるよ?作くんの趣味を探るのにも最適だしね」
完全犯罪だ。気が狂ってる。
それに、俺の検索履歴バレたし。エロ動画の内容とか全部バレてるし。
もう最悪だ。
「もういいわ………………」
ここまで来ると呆れてくる。
位置情報把握、検索履歴監視…………俺にプライベートはないようだ。
「てかお前、家近くで隠れてたんだったらストーカーしないで家出た時に声掛ければよかっただろ。わざわざストーカーしなくても」
こいつの事だから、後ろから抱き着いてきて「おはよ~作くん」とでも言ってきそうなのに。
細い目をしながら俺は言うと、椎名は顔を赤らめ体をもじもじとさせながら、
「だって…………一緒に登校するのは…………恥ずかしいんだもん」
「あ?」
いつでもどこでも俺にくっついては胸を押し付けくる奴が何をほざいてるんだ。
本格的にキレそうだ。額の血管がうねっているのが分かる。
マジで、こいつ一回東京湾に沈めてこようかな。
「朝、一緒に登校するとかベタで逆に恥ずかしいんだよ~」
キャッキャと一人で騒ぐ椎名。
「お前、バグってるよ」
「もちろん、作くんが好きすぎて私はバグだらけだよ~」
さらに強引に抱きついてくる。
「公共の場でくっつくなアホ」
「いいじゃ~ん。朝からラブラブを見せつけようよ~」
学校なら100歩譲って許してやる。俺達の関係をほぼ全校生徒が知ってるからな。
だが、ここは駅のホーム。見ず知らずの人が行きかう場所だ。
学校での1億倍周囲の目線が突き刺さる。
その「なんだあのバカップル」みたいな視線。
そもそも俺達は付き合ってないし!勘違いしないで欲しい!今俺達を見ている人たち!
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