EPISODE8 『これは、なんの音』
自分の中から出てきた、自分のソレ。色と形は少しだけ見えてきているらしいけど、だから何だっていう、例のやつだ。ソレを抱えて立ち尽くしていると、チョウカクの眉がピクリと上がった。
「おい、フゥロ。お前のソレ、なんか音が聞こえる」
そう言ってチョウカクが自分のソレに顔を近づけてきた。だけどそれだと上手く聞き取れなかったようで、ヘッドホンの音を切って、『ソレ、ちょっと貸して見ろ』と言われる。大人しく自分のソレをチョウカクへ渡せば、チョウカクは意識を集中させた。しばらくしてようやく、何かが聞こえたようだった。
「……わりぃ、なんの音か、まではわからないけど」
――もう、無音、じゃねぇな
チョウカクはそう言って口角を上げながら、自分の肩を叩いてきた。
「やっぱり落ちてくるソレと関わると、フゥロのソレもなんか変化するみたいだねー」
ミカクがのんびりとした口調で言う。
「じゃあ、残りはミカクさんかオレ、どっちかの感覚が出てくるんですかね」
キュウカクが言うとそれにシカクが答える。
「今までの流れ的に言えば、そう考えるのが自然かと思いますよ」
チョウカクの抱えていた自分のソレが、勢いよく自分の胸の中に戻っていく。何故だかわからないけど、ここに来た時よりも少しだけ、ほんの少しだけ今回は感情が動いた自覚があった。無音じゃなくなったのは、それも関係があるのかもしれない、なんて思う。
「フゥロ。手がかり増えてきたね!」
アノコはそう言って、笑ってた。
アノコの世界のCASE3:『正しい』は強い、から CHOPI @CHOPI
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