第3話 勧誘
エイジ~この服可愛くない? 何でも似合う? ………………やめておく。
いいよ。服のような無駄なお金は掛けないからさ。それにしても『アダマンタイト』って凄く高く売れるんだね?
冒険者ギルドの買取のおじさんの顔見た? あの驚きっぷりは中々見れるもんじゃないからね~。
それにしても、エイジの『アイテムボックス』って私のよりよっぽど性能がいいみたいね~。
私じゃ精々5個くらいしか入らなかったのに、エイジはいくら入れてもずっと入るんだもんね。
ん? 生活魔法使いの特殊スキルなの? へぇ~ほら! やっぱり私が言った通りでしょう? ちゃんとエイジのレベルを上げると凄い事が起きるんだってば!
うんうん! 謝りなさい! 敬いなさい! そして崇めなさい! ぷふっ。違うわよ~あの胡散臭い教団の謳い文句を真似てみただけ。
それにしても教団ってなんであんなに高圧的な態度なのかな~。…………エイジがやってたゲームでも黒幕が教団だったの?
そうか…………異世界では教団に権力が集中するから、高圧的な人が多いんだ~。
あ~! ボリュさんが言ってたんだけどね? 教団には聖女様という人がいて物凄く綺麗なんだって~私も会ってみたいな~え? 私も可愛――!? ば、ばか! し、知らないわよ!
◇
ん? 教団の人が冒険者ギルドに来るなんて珍しいわね……。
ヘレナさん。こんにちは。はい。今帰ったところです。『アダマンタイト』ですか? 沢山ございます。いえいえ。ダンジョンで手に入りました。もっと売りましょうか? 買いたい訳ではない? …………あちらの教団さんから…………いえ。いつもよくしてくださっていますから、それくらいなら構いません。はい。案内してください。
エイジ。教団の人が私達に会いたいんだって。え? 私だけ? 絶対嫌ッ! あんなデブキモオタ…………あ、違う、ごめんなさい。エイジのことじゃないから! そもそもエイジはデブじゃな…………キモオタでもないからっ! ごめんなさい! 私が悪かったよ! 何というか、あの女を嫌らしい目で見ると『デブキモオタ』という文言が出て来るの! 特定の誰かを言っている訳ではありません! はぁ…………なんであんな人が訪れて来るのよ…………。
初めまして。リンと申します。こちらは――――こほん。こちらはエイジと申します。それで? ご用件を手短にお願い出来ますか? はい? 座ったらどうか? いえ、結構です。用件をどうぞ。
……………………私の加護は『勇者』であってます。
……………………はい? 勇者様? 魔王を倒す旅? 私達が? え? 私だけ? いえいえ、私はこちらのエイジと一緒でなければ、どこにも行きませんし、戦いもしませんよ。
…………エイジ? どうしよう……教団とやらに入って欲しいって言われてるけど、正直、私はあまり乗り気になれないかな……え? 聖女様に会ってみたい? ……………………エイジ? 変な事考えてないよね? ね? ね? 本当に嫌らしい事は全く、これっぽちも、ほんのごくわずかさえ、思ってないよね? …………ふ~ん。それならいいわよ。いいじゃない。聖女とやらに会ってやろうじゃないか!
デブキ――――じゃなかった。こほん。デボス司祭。その提案を受けましょう。聖女様に合わせてください。うわっ! 気持ち悪っ! 近づくな! 手を前に出すな!
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