第2話 冒険者

 エイジ~そろそろ起きてよ~今日はレベル上げに行くって約束してたでしょう! え? 僕がレベルを上げても意味がない……? そんなことないわよ! エイジの『生活魔法』はとても助かっているんだから! レベルを上げたらまた凄い魔法を覚えるかも知れないでしょう? ねえ? 行こうよ!


 先日の失敗は気にしないでよ。私も配慮が足りなかったわ。今日はちゃんと守るから。うん? 守られるばかりで情けないって? そんなことない! 例えば私が受けた返り血も、エイジがいないと消せないじゃない。返り血って本当に臭くて気持ち悪いのよ? だから私は他の冒険者とは組まないと決めてるし、エイジとしか組むつもりはないから。


 あっ! そうだ、エイジ。ボリュさんがさっき言ってたんだけど、あのダンジョンの4層にはゴーレムという魔物がいて、たまに宝石をドロップするらし――――うふふっ。経験値よりアイテムが欲しかったのね。私も頑張るから行こう~。






 ボリュさん。おはようございます。先日はありがとうございました。…………いえいえ。では失礼します。


 …………うん? 冒険者達にも他人行儀だって? いいじゃない。私が女だからって変な目で見て来るし、エイジは私が他の冒険者と出かけてもいいの? えっ!? いいの!? …………むぅ……エイジのばか……もう知りませんよーだ。


 ヘレナさん。おはようございます。石のダンジョンの受付をお願いします。はい。問題ありません。二人でいいです。いえ、他の冒険者は要りません。問題ありません。はい。ありがとうございます。


 エイジ、行こう? うん? 問題ないんだもの。いいじゃない。…………むぅ。だって他の人なんて私には本当にどうでもいいんだから、ほら、行くわよ? あ~弁当も買っていこう? 『アイテムボックス』に材料は少し入ってるけど、今日は4層まで行くから、弁当が良いわね~なんの弁当にしようかな~。






 おはようございます。ヤキブタ弁当を二つください。…………はい。銀貨2枚です。お願いします。


 あ~この匂い嗅いでいるとお腹すいちゃうね。まりさんの朝ごはん食べたいな~。うんうん。まりさんの朝ごはん美味しいもんね~。そういえば、ここに来て、エイジは全く料理しなくなったね? いつもなら忙しいまりさんに代わり夕飯とか作ってたじゃない。え? 下手じゃないわよ! 私はエイジの手料理好きだよ?


 うん? 呼ばれたから取ってくるね? ………………はい。ありがとうございます。………………お待たせ~早速ダンジョンに行ってみよう~!




 ◇




 うう…………ありがとぉ。エイジ。返り血だけは本当に嫌になっちゃう…………うん? もうこんなに強くなったって? う~ん。どうだろう? でも早く強くなりたいのはあるかな? 早く強くならないと…………エイジを守れないし…………え? 聞こえてない? う、うん! 聞こえてないならいいの! 何でもないから!


 あ! エイジ! 4層への階段だよ! 早速降りてみよう!


 あれがゴーレムなのかな? 思っていたよりもずっと岩だね? 硬いから勇者スキル『オーラブレイド』で斬った方がいい? 分かった! そうするね! スキル『オーラブレイド』! わあ! 本当にサクッと斬れたよ!


 あれ? エイジ! これってボリュさんが言っていた宝石なのかも! 不思議な宝石だね?


 『生活魔法』で鑑定する? 分かった。お願い。…………綺麗な光だな…………『アダマンタイト』? 物凄く珍しいアイテムなの? どうしてこんな弱い魔物でこんな良い素材が落ちるのかが理解出来ない? う~ん。まあ、いいんじゃない? せっかく手に入るならもっと買って行こう? 高く売れるんでしょう? ………………ええええ!? そんなに高いの!? よい。もっと狩るわよ! 寧ろ! 狩り尽くすわよ!



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