第28話 冷静な思考


 「ふぅ………」


 私は一回息を吐き、もう一度冷静に思考を始めた。

 確かあの人は学園一の美少女と言われている三輪凛さんだ。

 でもあの人は学校のどんなイケメンやお金持ちの人が告白しても全員振ったはずだ。


 「それなのに、なんであの時兄さんと………? やっぱり、兄さんとあの人が付き合って!」


 いや、決めつけるのはまだ早いと思う。 まだ早いと思う。

 まだ早いと思いたい!

 その時、私はふと思い出した。


 「そういえばあの人前にどこかで会ったような気がする………? 

 そこっだったかな?」


 そう、前からあの人にはどこかであったかのようなデジャブを感じることが何度かあった。

 「たまたまだろうって思っていたけど………まさか………」


 どこかで会ったことがある………?

 私は昔の記憶をたどる。

 兄さんとよく話していた女………。

 私は記憶をたどる。

 兄さんはあまり女の人とは話さない。

 だから、兄さんと仲が良かった女の人だとしたら私もわかるはずだけど………。

 私は自慢じゃないが今までずっと兄さんと一緒にいたからわかるはずだけど………。

 その時だった。


 「確か、小学生の頃に一人兄さんと仲がいい女がいたなぁ………………ん? あれ? まさか! いや、でも今と全然違うし」


 私は小学4年生で、兄さんが5年生の時に一人兄さんとよく一緒にいた女がいたはずその女の名前は………


 「最上…凛………!」


 そうだ、最上凛だ。

 今は名字も外見も違うからが違うからわからなかった。

 「でも、言われてみればどこか面影が残っている」


 確かあの時の、三輪凛さんは今よりもふくよかでいじめられていたけど、そこを兄さんがいじめから守っていたと、言っていたはず。


 「………………」


 うん、絶対そうだ。

 多分その時に三輪凛さんは、兄さんに惚れたんだろう。

 それはそうだ。

 いじめから救ってくれたんだ、女の子なら惚れないわけがない。

 兄さんは今まで告白なんかはされたことないし、自分はあんまり目立たない方だからと自分を卑下しているけど実はそんなことはない。

 

 「兄さんはモテる………」


 それは妹の私がよくわかっている。

 兄さんは大人びて落ち着いているし、超カッコイイ(個人差があります)それに料理もできているし気配りもできる。

 だから昔から人気があった。

 でも、兄さんには妹がいてその妹はブラコンで、妹のことを可愛がっている、ということで実は有名なのだ。

 そして、私は自分で言うのは何だが顔が整っている。

 だから、今まで兄さんには女の子が告白することはなかった………んだと私は思っている。

 それに何回も告白をされた。

 私がブラコンってことで有名なのにだ。

 そんなの私の顔だけ見て好きですって言われても、私の内面も何も知らないのになんでそんなことを言えるのだろう? 

 そんなの私の体目当てですって言っているようなものだ。

 それに私が告白を了承するわけがない。

 なぜなら…………


 「私は兄さんのことが好きだから」


 そう、私は兄さんのことが好きなのだ。

 それは家族とか兄としてではない、男の人として好きなのだ。

 でも、私と兄さんは血がつながっている。

 だから結婚もできないし、それは世間が許してくれない。

 でも今はいや、今までは兄さんとずっと一緒に入れた。

 そばにいるだけで幸せだった。

 その幸せがいつかは終わると思っていた。

 でもそれが今日、突然終わるなんて………。

 私が兄さんのことを異性として好きということを自覚したあの時、私が兄さんに取り返しにつかないことをしたあの日。

 それでも…………

 あの事件の日。

 私は決めたのだ。

 




 私はもう、兄さんに迷惑をかけない。














 兄さんが幸せならそれで私は満足なのだから………………。


     

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