第2話 朝ごはん


 「「いただきます」」


 俺と深雪は手を合わせて一緒に朝食を食べ始める。

 今日の朝ごはんはハムエッグにトースト、そして付け合わせにコーンスープだ。

 今日もおいしそうだ。

 

「兄さん、今日も朝ごはん少ないですが大丈夫ですか?」


 深雪は長くてきれいな黒髪をひるがえしながら心配そうにしている。


「ああ、俺は朝ごはんはあんまり食べられないからな、深雪が食べてくれるなら俺はうれしいよ」

「でも……トースト一枚は少ないのでは…………?」


 そう俺は朝ごはんの時は全然食欲がわかないのだ。

 まぁ、俺も朝ごはんを食べるのは大事という話はよく聞く。

 そんなことってないのかな? あるよね?


「でも、朝からお弁当をつくっていたらおなかが減りませんか?

 私ならお腹がすごくへると思いますけど」


 深雪は牛乳を飲みながら不思議そうに首をかしげている。



「んん……そうだなぁ。確かにそうなるような気もするっちゃするけど、食欲がわかないんだよなぁ」


 深雪は俺の心配をしてくれているのだろう。

 そんな深雪の気づかいに心が温かくなる。


「まぁ、兄さんの愛兄弁当は絶品ですので、それを作っている兄さんでしたら食欲がわいてくると思うのですが」

「愛兄弁当! またすごい言葉だな……」

「違うのですか!?」


 深雪が上目遣いで目をうるうるさせながらこっちを見ている。

 クッ! これ反論できないだろう!


「そ、そうだけどな……」


 俺が頬を書きながら恥ずかしそうに言うとミユキは満面の笑みで


「フフっ。 そうですよね! 私はいつも兄さんが作ってくれる、愛兄弁当のために午前中の授業を受けているといっても過言ではないのですから!」


 ミユキは自信満々に

 控えめな胸を張る。


「いや、過言だろ!」

「いえいえ、そんなことないですよ?」


 まぁ、深雪がいつも俺の作る愛兄…………ではなくお弁当を「おいしいです。 兄さん」と言ってくれるから毎朝頑張って作れるんだよ。

 という言葉は俺の心の中だけで言っておく。

 やっぱり気恥ずかしいしな。


 総司も総司で自分も相当気恥ずかしいことを言っている事に気付いてはいないのであった


 などといつもの通りの楽しい朝食をしているうちに時間がかなりぎりぎりになり、慌てて用意をして学校に向かうことになるのだがこれはまた別の話である。

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