第3話 坂



 初芝学園。

 俺たちの家の最寄駅から五駅のところにある初芝駅から約十五分のところにある高校に俺たち兄妹は通っている。

 ちなみに俺は高校二年で妹の深雪は高校一年だ。

 だが初芝学園の最寄り駅である初芝駅から学校に行く途中には初芝坂と言われる坂があり。

 学校に通う生徒たちの朝の試練となっていた。




「やっぱり毎回思いますけど、この学園の初芝坂はしんどいですねぇ」


 深雪は初芝坂を上りながらうんざりしているかのような表情をしている。


「そうだなぁ、俺もこの坂を上り始めてもう二年だけどこの坂だけは慣れないなぁ、だけど最近は涼しくなってきたし夏よりかは、ましなんじゃないか?」


 今月は十月で、道路のわきに生えている木の葉っぱは、赤や茶色など日本の秋を象徴させるかのようなきれいな色に移り変わっている。

 完璧に秋だ。


「そうですけどね、でも最近は秋になっても暑い日が多いですからね、油断できませんよ」

「何にだ?」

「もちろんあれですよ」


 いや、あれってなんだよ。

 わからない………まぁとりあえず適当に話を合わせておくか。


「あぁ、あれか。 確かにあれは油断できないな」

「やはり兄さんもそうなのですか?」

「まぁな」


 深雪はうんうんと頷き、決め顔で


「やはり春一番には気おつけないといけませんからね!」

「今の季節は秋だが!?」


 俺の返答に深雪はフフッとうれしそうに笑い


「流石兄さん。 気持ちのいいツッコミをありがとうございます」


 などといつも通りの会話をしていると、肩に軽い衝撃があたった。


「オッス、総司」

「ああ、達也か。 おはよう」


 俺に声をかけてきたのは俺の友達の高松達也だ。

 達也は身長180センチあり、かなり身長が高くバスケ部に所属している。

 達也とは一年の時に俺の席の後ろに達也が座っておりその時に仲良くなった。


「おはよう、深雪ちゃん。 今日も総司と一緒に登校とは仲いいねぇ」

「おはようございます、高松さん」 


 そして深雪が腕を組みうんうんと頷きながら


「まぁ兄さんと私が仲が良いのは人間が息を吸うようなものですからね」

「なるほど、俺がバスケをするようなものか」

「いや、どういうことだよ!?」


 それぐらい当たり前っていうことか?

 まぁそう言われて悪い気はしないけどな。

 

「っていうか、達也。 今日の朝練はないのか?」


 達也は確かほぼ毎日バスケの朝練をしているはずだ。

 そしていつも朝に教室に入ってくるときは汗拭きシートのさわやかな匂いをさせている。

 

「ああ、今日の朝練はないんだよ。

 キャプテンが今日の朝練はなしだって言って、なくなったんだよ」

「へぇ、珍しいこともあるもんだな」


 そんなこんなで三人で話しながら初芝坂を歩いていたらあっという間に上り終えており靴箱で深雪と別れ、俺と達也は一緒の教室に向かうのだった。

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