緊急電
ジャカルタ解放、植民地政府の降伏でインドネシア国の独立は達成確実となってきた。そしてこの頃、日本周辺でもまた情勢が動き出していた。日本軍撤退後一層激しさを増していた第二次中国国共内戦は、まあこれは第一次の時からそうだったのだが両党とも複数の派閥に別れたりして、更には、かつては日本軍が一応抑える事のできていた他の軍閥、馬賊らもまた活動を開始し、現在の中国亜大陸は春秋戦国時代の再来とも言える様相を呈していた。日本政府としては蒋介石総統の国民党政府を中国の正統政府として支持すると表明はしたものの、ここ数年国内で大きな被害の出る地震や台風が連続した事やインドネシア独立戦争の事もあって、中国への具体的な支援はできていなかった訳だが、この混迷した大陸情勢、正に何が起こってもおかしくない状況であり、日本政府が自国の安全保障上において傍観できない事態がこの頃起きたわけである。
1947年 1月 東京市 市ヶ谷 国防省
「閣下!藤井閣下ぁ!たいへんな事になりましたぁ!」
「そんなに慌ててどうした、まず落ち着け」
陸軍長官室に慌てて飛び込んでくる部下を制して、まあ落ち着けとコーヒーをいれてやってから話を聞く藤井義雄陸軍長官。
「それで、何があったんだ?またぞろインド侵攻しろとかいう過激派連中の叛乱か?」
「いえ、実は京城の朝鮮軍司令部から妙な報告が・・・」
不安そうな顔で朝鮮軍司令部から本国中央司令部宛に来た電文をとにかく読んでくださいと渡す高田通信参謀。
「・・・・・・確かにこれは大変な事だ・・・高田少佐、君はもう下がってよろしい」
「はっ・・・」
藤井が顔面蒼白になるのを見て、心配になるも自分として何もできる事はないので、言われた通り長官室を辞する高田参謀。そして、この電文を藤井はまず山本国防大臣に上げ、その山本国防相から政府に上がって、緊急閣議が開かれる事となった。果たして、その朝鮮軍から東京の司令部へ送られた緊急電の内容とは・・・・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます