桜の花と過去の記憶

「あぁ…この季節が今年も来たのか…」

美樹は部屋の窓から見える桜並木を見て憂鬱になった。

昔は好きだった桜の花。

でも今は見ると憂鬱になる。

その原因はあの時の出来事だった。


—4年前の春

桜が程よく舞う時期、友達の紗枝と週末に出かける約束をした。

2人で帰りのバスを待っていた時、美樹は教室に忘れ物をしてしまったことに気付く。

あと数分でバスが来る時間。

「ごめん!先に帰っていいよ!」

「うん、わかった!」

その会話が最後の会話になった。


翌日、紗枝は学校に来ることはなかった—


何故、こんな事になってしまったのだろうか。

桜の花を見る度に思い出してしまう記憶。

でも過去に戻れないのは分かってる。

だから前を向かなくてはいけない。


“いつかまた桜の花が好きになれるようになりたい”


そう願いながらカーテンを開けた。





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