第2話

「ただいまー」

「おかえりー」

家に帰るとおいしそうな匂いとお母さんの声が台所からした。

台所に行くとお母さんが晩御飯を作っている。

お母さんが私に気付いて振り向くと少し驚いた顔をする。

「んー、今日は景君と一緒じゃないの?珍しい」

「それがね、景ラブレターもらってさー、返事してくるって言って学校に戻って。景にもついにモテ期がきたのかーって感じ」

「ふーん」

「ふーんって反応薄いね」

お母さんは景をほとんど実の息子のように可愛がっているのでもう少しリアクションすると思っていたが思ったより反応がない。

「そりゃ景君昔からモテてたからまたくらいにしか思わないわよ」

「はぁ!?えっ!嘘!?モテるの!?景って!?」

衝撃の事実に驚きが隠せなかった。

「景君普通にいい子だし、かっこいいからモテるわよ」

「初耳なんだけど!ていうかなんでお母さんが知ってるの!?」

「なんども相談受けてたからね。なるべく相手を傷つけないように断ればどうすればいいかとか」

「それも初耳!!ぐわー!景のやつなんで私に黙ってたの!」

いきなり入ってきた怒涛の情報量に思わず私は頭を抱えた。

「なんでって…そりゃぁ優香に知られたくなかったからでしょ」

呆れた顔をしてお母さんが言う。

なんでお母さんがそんな顔をしているのか私にはわからなかった。

「もういい景に直接聞くから」

「そのほうがいいかもね」

最後までお母さんの言ってることはいまいちわからないまま私は台所出て自分の部屋に向かった。

自室に戻り私すぐにベットに倒れこむ。

「~~~~~」

暫くしてから敷布団に顔を埋めながら叫ぶ。

冷静に考えれば景がモテていようと私には関係ない話だ。

そりゃ私といる時間が減るかもしれないがそれでも今の関係から何も変わらない。

それなのになんで私があんなに動揺したんだろう。

これじゃ私が景のこと誰にも渡したくないみたいだ。

「…そんなに私独占欲強かったのかなぁ」

そんなことないと思うんだけどなぁとぼんやりと考えているとだんだんと睡魔が襲ってくる。

そのうち景が家によるはずだ、その時に全部聞いてみよう。

なんで隠していたのかを、好きな人が誰なのかを、そしてできれば応援しよう。

最後の考えに少し胸がチクリと痛みを覚え私は意識を手放した。

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