第6話 アジト
「クリス、これからどうする?」
「開発の為に毎日メールでやり取りしてもらう」
「本気か?」
「ああ、本気だ。人を殺さない
爆弾を本気で作るつもりだ」
クリスは拳を出すと亮のスマフォを亮に渡した。
「日本から届いている」
「ありがとう」
亮のスマフォは一恵が受け取りそれを
亮が意識の無い間、アメリカに届けていた。
黒い上下姿の亮はブルーノとヘリコプターに乗った。
~~~~~
「樫村さん」
美咲は取り調べ室のドアを開け樫村を呼んだ。
「どうしました?」
「いま白金台エリアを捜査中の大野さんが
見つけた犯人のアジトの
オーナーが高田義信の父親の高田健治です」
「高田義信の父親ですか・・・繋がっていますね」
美咲と樫村は一人一人が蜘蛛の糸の
様に細いが確実に繋がっているのを感じていた。
「警視、すぐに高田健治を調べましょう」
「ええ、アジトの方はもしもの事が
あるといけないので
爆弾処理班を向かわせたわ」
「はい、それがいいと思います」
樫村は厳しい顔で答えた。
~~~~~~
ハイツ白金台前では大野たちが応援を待つ間
アジトである可能性ある105号室の前で見張っていた。
「部屋の借主は与謝野鉄男35歳、
セントラル貿易務めているそうです。
隣の部屋の住人に聞くと人の
出入りが多かったそうです」
桜田が調べてきた内容を大野の
伝えると大野はうなずいた
「なるほど貿易会社か」
「大野さん中に入らないんですか?」
「中に何があるかわからないから
捜索差押許可状を発行してもらっている」
「契約者を調べていないこの状況で出せるんですか?」
「ああ、原警視が検察庁に掛け合っている、
なんでもこの建物のオーナーが
曰く付きの人物らしい管理人に事情を
伝えて鍵を開けてもらう用意をしてくれ」
「あっ、もう貸してくれました」
桜田は大野に鍵を見せた。
~~~~~~
「警視、電話が入っています」
職員が美咲に伝えその向こうには
雑音の多い亮の声だった。
「美咲さん、今解放されてヘリコプターで
ワシントンに向かっています」
「そう、よかった」
亮は日本から出国手続をしていないのに
夜景の見えるヘリコプターで
アメリカで移動しているのがおかしかった。
「ところで亮、奴らのアジトらしき
部屋を発見したわ。建物の持ち主が
高田健治の父親なの」
美咲にそう言われた亮の心臓の
鼓動が早くなっていた。
「わかりました、アジトの捜査には
気を付けてください
爆弾が仕掛けてある可能性が有ります」
「了解、爆弾処理班を向かわせているわ」
亮が美咲との会話を終えると
「ブルー、僕の連れのマギーは?」
「体調が回復次第、基地から出られる。
彼女も君の仲間か?」
「はい」
亮は体を張って亮を守って
くれたマギーに感謝をした。
「君はただのビジネスマンじゃないな」
ブルーが亮の顔を見つめると
「ええ、ビジネスマンのつもりなんですが、
色々事件に巻き込まれてしまって」
亮は困ったように頭を掻くと
ブルーノは大声で笑った。
「あはは、確かに。今夜は上院議員と
食事をして明日ニューヨークへ行こう
君のお姉さんと娘が待っている」
亮たちの乗るヘリコプターは
30分も経たずワシントンに着き
フライト中に何度か鳴っていたスマフォの
呼出し先に亮は電話を掛けた。
「やっと、連絡が取れた。よかった」
美喜が喜んでいた。
「それで、一文字の金はどうなった?」
劉文明は爆弾事件騒ぎの中
一文字のお金を積んだ貨物船を見張っていた。
「それが昨日着いた、あの貨物船の
コンテナの中のお金が消えていたの」
「そうか!あの事件は誘拐とテロだけ
じゃなくて海上保安庁の船を一ヶ所に集中させ
その隙に沖合でお金だけ運び出したんだ」
「ええ、たぶん」
「くっそ!」
亮は自分の思慮の浅さに唇を噛みしめた。
「小妹に電話代わる」
美喜が言った。
「小妹、申し訳ない。僕の考えが甘かった」
「大丈夫だよ。途中まではマギーが
見張っていたから。どこで降ろしたか
分かっているから」
小妹は亮を慰めた。
「すまない、すぐに戻る」
「いいよ、隠し場所はわかっている。
せっかくただでアメリカに
行ったんだから仕事をかたずけてきて
問題が有るようなら私もそっちへ行くわ」
「誰かこっちへ来てくれると良いけど
・・・また状況を連絡してくれ」
「了解」
亮とブルーノがWワシントンンホテルの
ロビーに着くとブルックが赤い
イブニングドレス姿で亮に抱きついた
「亮!」
「しばらくですね、ブルック。綺麗だ」
亮は洗練されて美しくなった
ブルックを見て胸が躍った。
「部屋にタキシードが用意してあるので
着替えて、ここのドレスコードフォーマルなの」
ブルックは微笑んで肩をちょっと上げた。
レストランJ&Bの個室に入った三人が席に座ると
スチュアート上院議員夫妻が入って来て
三人は立ち会って向かえた。
「久しぶりだね、ミスター・ダン」
スチュアートはまず亮の元へ行って手を握った
「私の妻のメアリーだ」
スチュアートは妻のメアリーを紹介した。
「あの時はありがとうございました。
あなたは命の恩人です」
「いいえ」
亮はメアリーを紹介され深々と頭を下げた。
テーブルを囲んだ五人はシャンパンを
手に取ってスチュアートが音頭を取った。
「まず、ミスターダンの無事を
我々の再会を祝って乾杯」
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