第3話 アジト

トニーは周りを見渡し互いにうなずいていると

「おそらく、設計図が盗まれて

作られたものですね。そして日本で

 EPM爆弾の爆破で成功して闇のマーケットで

世界中のテロリストに売るつもりだったのでしょう」


亮は思いついた事を思わず言ってしまった。

クリスは亮の方を見えて顔をしかめ口だけが

「NO、NO」と言っていた。


「そこまで、我々の裏の話を知ってしまっては

黙ってここから出せませんね」

トニーは冷たく答えた。


「あっ、空白の19分の秘密がわかった」

亮が突然日本語で言った。

「大至急、日本の警察庁原美咲警視に

連絡をしてください、

 犯人は空白の19分間に部品を受け取ったんだ」

亮は立ち上がって英語で言った。


「何言っているんだ、團!」

トニーが亮の言っている意味が分からないでいた。

「誰か電話を貸してください、早くしないと犯人の

アジトがわからなくなってしまう」

暴れだす亮を入り口にいた兵士が抑えた。


そこに一人の若い男が入って来てトニーに敬礼をした。

「少佐、今連絡が入っています」

「どこからだ?」

男がそれを言おうとした時

もう一人の軍服の男が入ってきた。


「少佐、すぐに尋問は中止だ!」

男が怒ったように言った。

「司令官」

全員が男を見て立ち会った。


「今、国防総省に日本外務省、

中国外務省、ハイド弁護士事務所

、CIA、上院議員そしてブルーノ・ジャックマン

からも早急に團亮の

身柄を解くように言ってきている。

このままだと国際問題になるぞ」


「ジャックマン!CIAと上院議員

しかし爆発の時の情報を

聞かなくてはいけないので」

トニーは言い訳をすると

「それなら、こんな犯人扱いのような場所ではなく

 情報提供者としてお迎えしろ」


「はっ!」

全員が敬礼をすると

「ミスター團、すみませんでした。私はここの

司令官カーク・イングランドです」

カークは亮に握手を求めた。

「はい、覚えている限りの事をお伝えします」

「よろしく」

カークは部屋を出て行くまで全員が敬礼をしていた。


「電話を貸してください」

様子が変わった周りに亮が言うと

すぐにクリスが電話を出した。

「ありがとうございます」

亮とクリスは目を見合って笑った。


「もしもし、美咲さん」

亮から美咲の元に電話がかかってきた。

「亮!無事なの?」

「はい、それで犯人たちは自供しましたか?」

「ううん、船の四人とマリーナにいた二人とも完全黙秘よ」


「そうですか、姉たちを誘拐してから

品川まで出るまでの空白の19分がわかりました」

「なに、なんなの?」

「奴らのアジトがその途中にあるんです。

早急に調べてください」


「了解、それとマーメードⅢ号の持ち主、

清水大作は麻薬取締法違反で逮捕して

 取り調べをしているわ」

「麻薬ですか?」

「ええ、ADMAと覚醒剤所持こっちは

一般人だから口を割るのが早いと思う」


「わかりました。よろしくお願いします。

基地を出たらまた連絡します」

美咲との電話を切った亮は

「さあ、続きをやりましょう」

亮はにっこりと笑って絵を描き始めた。

~~~~~

亮の無事な情報は美咲から仲間に伝わった。

翌朝、雪が提出した誘拐犯人の芝公園

から品川駅に至る逃走経路を

元に会議が開かれた。


美咲は亮たちがやった捜査方法を隠し

亮が偶然に品川駅に手配された車を

Nシステムで発見して、その行先を推理し

横浜マリーナで発見した説明をした。


捜査員は偶然が重なり過ぎて捜査内容が

理解ができないまま、

次々にアジト発見に出て行った。

「原警視、警視庁公安第3課桜田です。

質問が事があります」

若い刑事が緊張して警視庁の刑事が

美咲と雪が座っている席に来た。


「なんでしょう?」

美咲はにっこりと笑って答えた。

「今日うかがった話にはあまりにも偶然が多すぎます」

「ええ、詳しい部分は捜査上の秘密です」

「この捜査の指揮を執っていた團捜査官

は今どこにいらっしゃいますか?」


「どういう理由で?」

「自分は2時間余りで誘拐事件と以前の爆発テロを

解決した團捜査官に会ってみたいのです」

「爆発事故に合って今入院中です」

「以前も兜町の事件でも活躍されたとか聞いております」

精悍な顔立ちの桜田は亮の活躍にあこがれていた。


「桜田さん、階級は?」

「はい、巡査部長です」

桜田は美咲の背筋を伸ばして答えた。

「そう、彼はいつも秘密任務に就いているので

 会うことはできないと思うけど、

彼は素晴らしい人よ。見習って

 職務に励んでください」


「はい」

桜田は秘密任務という言葉に体が震え

美咲に深く礼をした。

「おい、桜田」

上司の大野が桜田に声をかけた。

「はい」

「原警視と何の話をしていたんだ?」


「今回の指揮を執っていた團捜査官

の話を聞きに行っていました」

「ああ、團捜査官はすごいイケメンだっていう噂だ、

しかも警察庁のどこにも席がなく会った人も

ほとんどなく顔もわからない謎の人物だそうだ」


「なんか、ジェームズ・ボンドみたいですね。

常に現場の第一線にいるなんて」

「うん、犯人のアジトを見つけたら

團捜査官に会えるかもしれないぞ」

大野が桜田の肩を叩いて笑った。


~~~~~

亮が描いた絵は大型モニターに映し出された。

「これが僕が見たEMP爆弾の絵です」

クリスを含めた七人があまりにも

綺麗に描いてあるそれを凝視した。


一人の男が設計図のような物を取出しクリスに見せ

クリスは亮を呼んだ。

「團、この一番下にあったコードの色は?」

トニーが設計図を見ながら亮に質問すると

「黒です」

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