第8話

翌日、球技大会

女子のバレーは早々と負けた。


[負けたね~]


[ボロボロだね!]


[男子の応援に行こう!]

と紗綾達は負けると練習の時に

思ってたんで明るかった。

(あっ!加賀君が出てる!足が

早い、上手い、サッカー)

その横でキャーキャーと、何時も

群がってる女子達。

男子は見事、優勝した。

(加賀君の活躍のお陰だな!)

と紗綾は思った。

試合が終わって話掛けようと、すると

女子達に、はね除けられる。

(いた~い!もう!いーや、スーパー

で話掛けよう!)

教室で、やちゅー達に


[おめでとう!]

と声を掛ける紗綾達。


[今日、祝賀会やるか?]

と、やちゅー。


[又、今度ね!]

紗綾は、夕方買い物に行く為に先に

延ばした。


[冷たい奴らだな!]


[そんな事無いよ!ちゃんと、する

からね!]


[それなら、いいか!]

そして夕方


[じゃあ、お母さん買い物に行って

来ます。]


[は~い、お願いね!]

スーパーに入る紗綾。

加賀を捜す。

見付けた。


[加賀君!]


[おっ!]


[少し話しても良い?]


[少しなら。]


[あのね加賀君てさ幼稚園の時に

少しの間、こっちで通って無かった?]


[通ってたけど。]


[昨日、アルバム見てたら居たんだ

加賀君が!]


[えっ!]


[本当に有ったの!あの呼び方北村

紗綾ちゃん、あの呼び方するのは

加賀君だけだった!]


[思い出したの?]


[少しだけ。]


[加賀君は最初から分かってたの?]


[うん、名前聞いて顔見て、直ぐに

分かったよ!で、ずっと見てたら

幼稚園の時の、ままだった!]


[え~私って幼稚園から、成長無し?]


[そういう意味じゃ無くて、優しくて

強い、北村紗綾ちゃんの、ままだった!]


[加賀君、今近況何か困ってる?

悩んでるでしょう?私で良かったら

話して誰にも言わないから!]


[でも……]


[1人で、悩まないで、言って!]


[実は、幼稚園の時に両親が離婚を

して僕は、お母さんと一緒に隣町に

引っ越したんだ。名字は、そのまま

お父さんの方を名乗って、お母さん

1人で頑張って働いて、家の事迄

してって、やってたら病気になって

病院にも行けず、向こうには誰も

知り合いが、居ないから、せめて

お父さんの居る所に引っ越そうと

お母さんが、言い出して、多分もし

自分に何か有った時に、僕が直ぐに

お父さんの所に行ける様に、したん

だと思う。]


[それで、今、お母さんは?]


[ずっと、寝たきりだよ!まだ病院

にも行けないし!]


[じゃあ、生活は、どうしてるの?]


[毎月、お父さんが最低限の生活費を

送ってくれてる、だから高校なんて

行けないんだよ!働いて、お母さんを

病院に連れて行ってあげないと…]


[そうなんだ!加賀君、言いたく無い

事を言ってくれて、ありがとう!私も

何か良い方法が無いか考えてみる!

だから加賀君も諦め無いで!]


[ありがとう、北村紗綾ちゃん!]

と、ニッコリ笑った。

紗綾も、笑って返した。

家に帰った紗綾。


[紗綾、買い物は?]


[あ~忘れた!]


[あんた、買い物を忘れて、今迄

何してたの?]


[お母さん、お母さんに相談が有るん

だけど!]


[どうしたの?改まって!]


[アルバム見て、幼稚園の時に

加賀誠君て、居たでしょう?]


[あ~居たよ、どうしたの?]


[今、家の中学校に転校して来てる

んだけど、お母さんが仕事で身体を

壊して、寝たきりで最低限の生活費

を、お父さんが入れて、くれてるん

だって!だから高校にも行けずに

働くんだって!これって、テレビで

やってる、ヤングケアラーって、やつ

だよね?何か良い方法が有るよね?]


[そうだね、そんな事情なら1度

区役所に相談に、行った方が、いいね

ちゃんと、出来たら、お母さんも

病院に行けるだろうし、加賀君も

高校にも、行けるかもよ!]


[お母さん、お願い、一緒に行って!]


[そうだね!子供だけではね!

分かったよ!]


[ありがとう、お母さん!明日

加賀君に言ってみる!]

ご飯を食べて、部屋に戻る紗綾。

(早く、明日になって!)

そう思いながら眠りに就いた。

翌朝

[お母さん、ありがとう!行って

来ます!]

走って学校に行く、紗綾。


[おはよう、紗綾。]


[おはよう、今日は早いね?]


[うん、ちょっと!]


[最近、本当に、ちょっとが多いね

怪しい~]

と何時の3人。

でも決して、深く追及したり、せずに

居てくれるので、有難い。

(あっ!加賀君だ!)


[加賀君、今日お昼、ちょっと話が

有るから体育館に来てくれる?]


[うん、分かったよ!北村紗綾ちゃん!]

と言って、ニッコリ。

紗綾も、ニッコリ。

2人の挨拶に、なってしまった。

そして、お昼


[満里奈、ゆりな、純香、今日お昼

ちょっと抜けるから、ごめん!]


[いいよ!紗綾の事だから、大事な

事なんでしょう?行っておいでよ!]


[はい、これ、パンと牛乳入れて

おいたから!]


[ありがとう、満里奈、ゆりな、純香

本当に、ありがとう、行って来る!]

(本当に最高の友達だな!)


[ごめん、加賀君、遅くなって!

はい、これ!]


[ありがとう、じゃあ食べながら

話をする?]


[そうだね!あのね昨日の話、子供の

私では、やっぱり分からない事が

多いから、お母さんに相談したの!

ごめんね、言っちゃって!]


[いいよ。]


[そしたら、加賀君みたいな子を

ヤングケアラーって言うんだって

それで区役所に相談して、ちゃんと

出来たら、お母さんも病院に行けるし

加賀君も、高校に行けるかも、だって

それで、家のお母さんが一緒に行って

くれるから、平日だから学校休んで

3人で行こう!]


[北村紗綾ちゃん、そこ迄してくれ

たの?ありがとう!]


[じゃあ、行くでしょう?行こう!

早い方が良いから、明日、2人で

学校を休もう!]


[うん、分かった!先生に言って

休むよ、時間は?]


[夕方、スーパー行くから、その時に]


[分かった!北村紗綾ちゃん!]

ニッコリ。


[はい。]

ニッコリ。

教室に戻った。

何時の加賀君の取り巻きの、女子達が

又、物凄い剣幕で、こっちに、やって

来る。


[この前、忠告したよね!何を

懲りずに加賀君に、ちょっかい

出してんのよ!]

それを聞いてた満里奈、ゆりな、純香が


[あなた達の加賀君じゃ無いでしょ!]


[紗綾が誰と話しようが、勝手でしょ!]

もう言い合い合戦が、始まった。

見かねた、やちゅー達も止めに

入るが、もう止まらない。

その時に


[バーン!]

と、物凄い大きな音がした。

みんな、固まって、その音の方を見た。

そこには加賀が、居た。


[いい加減に、しろ!北村紗綾ちゃんに

手を出すな!]

シーンと、静まり返り


[北村紗綾ちゃん?]


[何?]


[知り合い?]

取り巻きの女子達は、居なくなった。

紗綾は、みんなに


[ありがとう!]

と言った。

満里奈達、やちゅー達から加賀君の事を

聞かれたので、後日ちゃんと話するから

と言う事で、今日は辛抱して貰った。

夕方、スーパーで会う2人。

紗綾の、お母さんが、おかずを作って

持たせてくれた。


[加賀君、今日は買い物しなくて

良いよ!]


[どうして?]


[これ、お母さんが、成長期だから

栄養のバランスも大切だって!]


[おばさんに迄、迷惑を掛けて!]


[迷惑じゃ無いよ!明日、朝9時に

ここで、待ち合わせね!]


[うん、北村紗綾ちゃん!]

ニッコリ。


[じゃあね!]

ニッコリ。

明日が、待ち遠しい2人だった。

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