第7話

[北村さん!]


[はい?]


[あんたね、ちょっと、ムカつくん

だよね!]

満里奈、ゆりな、純香が走って来る。


[どうしたの?紗綾!]


[何か私の事が気に入らないん

だって!]


[何、それ!紗綾の、何処が気に

入らないのよ!]


[何時も野口、藤原、佐藤、高木と

つるんで、こっちは話も出来ないん

だよ!]


[すれば、いいじゃん!友達なん

だから!]


[それに加賀君は、どうして北村さん

とだけ話するの?何か関係有るの?]


[加賀君が話するのは私にも分からない

本人に聞いてよ!]


[その態度がムカつくのよ!]

そして、紗綾は突き飛ばされる。

満里奈、ゆりな、純香が慌てて

お越しに行く。


[あんた達の言ってる事は、おかしい

よ!紗綾は何も悪く無いじゃん!]


[いい加減に、しないと先生に

言うよ!]


[覚えてなさいよ!このままでは

済ませ無いから!]

それからも、女子の嫌がらせは

続いた。

何時も、満里奈、ゆりな、純香が

居たから大事には、ならなかった。

満里奈と純香は、その事をやちゅーと

けーんに言った。


[何だよ!それ!言い掛かりじゃ

無いか!俺達が言ってやるよ!]


[でも、やちゅー達が言うと騒ぎが

大きくなるから、多分、加賀君が

紗綾とだけ話するのが、気に食わない

んじゃ無いかな!]

と、ゆりな。


[それは言えるね!]

と、純香が


[お前達、さーやの側に居ろよ!]

と男子達。


[うん、分かってる!]

でも紗綾が先生の用事で帰るのが

遅れた日、帰る支度をしていると

又あの女子達が、やって来て紗綾を

突き飛ばした。

紗綾は

(駄目だ!転ける!)

と思った、その時、身体がフワッと

誰かに腕を捕まれた。

振り返ると加賀だった。

加賀は女子達に


[何やってんだよ!]

と言うと女子達は逃げる様に消えて

行った。


[大丈夫?北村紗綾ちゃん!]


[ありがとう、加賀君!]

紗綾は、やっぱり、この北村紗綾

ちゃんと言う呼び方に、懐かしさを

覚えてしまう。

その日は、そのまま帰る2人。


[気を付けて!]


[ありがとう!]

と分かれた。

紗綾は次の日、心を決めて担任の

森本先生の所に行った。


[おはようございます!先生。

私、この前、先生が加賀君との

話を聞いてしまったんです!

どうして、加賀君は高校に行かない

んですか!]


[それが理由を言わないんだよ。

もう日にちも無いから今日、呼んで

話をする、つもりだ!]


[分かりました、お願いします。]

と職員室を出る時に加賀君が入って

来た。

紗綾は外で加賀を待っていた。

そして、暫くすると加賀が出て

来た。

紗綾の顔を見て、驚いた様子だった。

教室に戻る2人。


[聞いてたの?]


[加賀君、高校行かないの?どうして?]


[うん、ちょっと色々あって!]


[じゃあ、どうして友達は作ら

無いの?]


[僕は友達と、遊んでる時間が

無いんだ!]


[それは、どういう意味?]

加賀君は少し微笑んで


[北村紗綾ちゃん、あれからは

女子に何も、されて無い?]


[うん、加賀君の、お陰で今は

大丈夫!]


[良かった!]

(やっぱり、北村紗綾ちゃん懐かしい

響き、あの笑顔、でも高校にも行かない

友達と遊ぶ時間も無いって加賀君の

家は、どうなってるんだろう?先生

何か知らないかな?後で聞きに行こう!)

何時もの様にパンと牛乳を持って行く。

放課後、紗綾は森本先生の所に行った。


[先生、少し聞きたい事が、有るん

ですけど?]


[何だ?]


[加賀君の事です!]


[加賀の、どんな事だ?]


[加賀君は転校して来る前は何処に

住んでたんですか?]


[隣町と聞いたが、小さい時は少し

この町にも住んでた、みたいだぞ!]


[そうなんですか?それと、どうして

高校に行かないんですか?]


[それがな、困ってるんだ、何度

聞いても理由を言わないんだよ!]


[先生、家庭訪問とか行った方が

良いんじゃ無いんですか?加賀君

何時も、スーパーで買い物して

ますよ!誰にも言ってません!

先生に、どうにか、して欲しい

から言ってるんです!]


[よし!1度、家に行ってみるよ!]


[お願いします!]

内心、紗綾は、ホッとしていた。

(先生が行ったら、何か分かる

はず!)

そうして何日か過ぎた頃、先生が


[お~い、最後の球技大会が有るぞ!

男子はサッカー、女子はバレーだ

いいな!]


[はーい。]


[3ーAの名に掛けて、頑張れよ!]


[どんな名だよ!]

と突っ込む、やちゅー達。


[野口(やちゅー)お前は、そう

いう所は早いな!]

クラスが大爆笑。

(流石に、これは加賀君、出るよね?)


[ねぇ、紗綾、放課後に球技大会の

練習するんだって!]

と、ゆりな。


[そうなの?でも全然、出来なかったら

困るもんね!]


[しんどいよ~帰りたいよ~。]

満里奈と純香。


[少しの間のがまん、がまん!]

と紗綾は、なだめる。

(加賀君、放課後なんて練習出来ない

よね、どうするんだろう?)

加賀は放課後さっさと帰って行った。

(やっぱり、聞いて来ようかな?

試案は、どうするのか、よし、

行こう!)


[加賀君、練習しなくて大丈夫?

本番は試合に出るよね?]


[うん、小さい時サッカーやってた

けど今は、どうかな?出れたら

出るよ!]


[絶対、出てね!勝とうね!]

必死の紗綾に又、加賀は微笑みながら


[分かったよ!北村紗綾ちゃん!]

と言って帰って行った。

(やっぱり、不思議な感覚だな?)

そして練習に戻ると


[北村、遅い!100本レシーブだ!]

と、ゆりなが、からかう。


[すみません!コーチ!]

と紗綾も返す。

外では男子がサッカーの練習をして

いた。

純香が


[あっ!]

やちゅーが、ボールを受け損なって

顔面に当たった。

純香と一緒に紗綾達も、グラウンドに

行った。


[やちゅー大丈夫?何かで冷やす?]

と純香が心配している。

純香は、タオルを濡らしに行った。

そして、一生懸命に冷やす。


[おーわりーいてーよ!]


[大丈夫?]

紗綾、満里奈、ゆりなは、やちゅー

と純香を見て


[ほのぼの、して良いね!]


[さぁ、純香を置いて、私達は

練習だよ!]

と、ゆりな。


[は~い。]

紗綾と満里奈。

ゆりなは、ボールを持つと性格が

変わるのか厳しい。

やっと練習が終わって帰る時、

森本先生に会ったので


[先生、行ってくれました?]


[いやーそれが加賀が絶対に来るな

と言うんだ!来たら、学校には

来ないと言って、困ったよ!]


[本当ですね!中学校位は、ちゃんと

出ないと!ありがとうございました!]

(困った!何か良い方法は、無いかな?

ちょっと待って、この前、先生が

小さい時、この町に住んでたって

言ってたな?帰って、アルバムを

探してみよう!)

家に帰った紗綾。


[お母さん、私の小さい時の

アルバム全部、出して!]


[又、急に、どうしたの?]


[お母さん、私が小さい時に同じ

組に加賀誠って子は、居た?]


[加賀誠、加賀誠、加賀…あ~

居たよ!ほんの少しの間、幼稚園

だったかな?何か、ご両親が

離婚して、その子は、お母さんが

連れて、この町から出て行ったと

思うよ!]


[写真見たら、分かる?]


[さぁ~どうだろう?]

アルバムを必死に、めくる紗綾。


[幼稚園、幼稚園、あっ!これだ!

何処に居る?少しの間だから無い

かも、知れないな~]


[あっ!紗綾、この子よ!この子!]


[どれ?]

よーく見ると昔の面影が今も残って

いる。

(この子な~私は何をして遊んだん

だろう?)

昔を思い出す紗綾。

(北村紗綾ちゃん、あの呼び方

そうだ、みんなは紗綾ちゃんとか

紗綾だったのに1人だけ居たな?

北村紗綾ちゃんて呼んでた子!

あの子が、加賀君?加賀君は覚えて

たのかな?)

考えると、切りがなかった。

紗綾は、アルバムを広げたまま

寝てしまった。

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