第18話 白い幼女

 スラムのゴミ山、端の端。目立たないように捨てられたのか、ゴミの中に埋もれていたブロンドの子供。


 若すぎて性別の判断ができない。髪が長いから多分、女の子だと思っておこう。服を脱がせてから気づいては遅いのだ。


 彼女に注目していて気が付かなかったが、身体の周りに新品ように綺麗な道具が幾つも転がっている。


「普通なら物だけ取るんだろうな…」


 物をポケットにむりやり詰め込んで、彼女を隠れ家に運ぶ。


 この日、白蓮が前世の記憶を取り戻していなければ、この幼児は死んでいたか、生き地獄を味わっていたかもしれない。


 誰かが仕組んだはかりごとの様な、何かに操られている薄気味悪さを感じずにはいられない。


 彼を見送るのは場に残った道具のみ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る