1章
EP.1
「……なんだここ……」
異常なほどの白さを持つ箱に包まれた世界……まさに白銀の世界と言える。
しかしまぶしさを感じないこの明るさは人智を超えているとしか思えない。少なくとも、明るいのにまぶしさを"全く"感じないという照明を私は知らない。
「あっ…!アイツまた……ッ!」
「え?」
声が聞こえる。
怒りで声を荒げているのにも関わらず美しい声をしている。
「……失礼しました。ここは地球では天国と呼ばれている場所よりも一つ下の階層である選定───いや、先に自己紹介しましょうか。私は氷の神『イエロ』 同時に転生の神もしています。」
ん……?今天国の1つ下の階層って聞こえたような……。
「……は?えっと……私は
「……残念ながら……それも別の神がやらかしてしまったようです。」
……え。
……まぁ、仕方ないですね……イエロさんは悪くないですし……。
「俺死んだのォ!?嘘だろ!?!?!?!?!?!?!?」
「心の声出てますよ。」
「っ……ともかく……!私は死んだんですね……。」
「えぇ。それもあんのクソ男神のせいで……。」
酷い言われようだ。そんなに酷い神様なのだろうか。
「──いやぁ、ごめんねェイエロちゃん。監視中に寝ちゃって、ひょう君の殺害ボタンを押しちゃったみたいでね~。」
「なっ……アレ5回は押さないと殺せないでしょう!?どうやって寝ながら5回押したんですか!!!!」
「ああ、改造して1回で殺せるようにしたんだ。」
「ばか!!!!!ばかあああ!!!!!!!!!!この前機械神が直してくれたじゃないですかああああ!!!!」
「まぁまぁ落ち着いて。ね。デートしようね。」
「しません!!!!!!!!!もういいです……後でお説教ですからね。」
「ヘイヘーイ、じゃあね~。」
…………これはクソ男神だ…………
「えっと……私はあんなクソナンパ男神に殺されたんですか……?」
「……はい……しかもあれで死ぬと特別な扱いをされるので同じ世界で復活できないんです……。」
「………………そう……ですか………………」
……はぁぁぁぁぁ~~~………………
「……本当に申し訳ございません……あれでも私より上位の神なので強く言えないんです……。」
アレより下……?そんなことある……?
「……いや……イエロさんは関係ないですし……」
…………気まずい………………。
「……そうだ!こうしましょう!」
び……っくりしたぁ……!なにを思いついたんだろう。
「私はこれでも転生神ですし!あなたの世界でいうところの…ちーと……?みたいなやつ!そんな感じのを付けて!見た目も好きな感じにして!ね!それで私の世界に転生しましょ!」
「……いいんですか?」
それって今はやりのアレじゃん……ってかキャラメイクもやらせてくれるの?ありがてぇ~…!
「えぇ、大丈夫です!ちょっと世界の均衡は崩れちゃいますが……まぁ許容範囲内ですよ!」
「それ、割とまずいん「ほら!早く能力とか選んでください!ステータスはランダムになりますが!」
「……じゃあ……」
「……はい!では
種族:天使&悪魔のハーフ
性質:氷 影
紋章:Φ
武器:刀
性別:女
髪:セミロングで山吹ベースの毛先桜色
瞳:灰と桜のオッドアイ
でよろしいでしょうか?」
「はい。ありがとうございます。」
「次に能力の確認です。『人族言語翻訳』に加え、『超速再生』『魔導の極意』『武導の極意』『斬導の極意』『無詠唱』でよろしいでしょうか。ポイントが足りないので片翼を犠牲にするそうですが……。」
「大丈夫です。抜け道は思いついてます。」
「抜け道……?…………はい!完了しました。ステータスですが『体力SS、知力SS+、力SS+、速さSSS、防御力C+』となります。」
う~ん……万能型……いや、回避盾寄りのアタッカーかな。単純に火力の高い攻撃は耐えられないけど……
「大丈夫です。ありがとうございます。」
「……では、【イド・ズィム】へ転移します!第二の人生をたのしんで!」
「…はい!」
───────────────────────
「…行きましたか」
「行ったな…」
「…あの子は、私の世界を救ってくれるのでしょうか」
「さあな、お前が選んだんだ。どうなるかはあの子次第だろうよ」
「…」
「…あんな嘘を吐いてまで隠したいことがあったのか?」
「…そうですね。私は"あの神"を欺かねばなりませんから。神界や私にならともかく、"彼奴"は『人間』に盗聴器を仕掛けています」
「…んじゃ、"あいつ"にはあの子の能力は筒抜けって訳だ」
「そう…ですね。でも、あの子が"彼奴"を殺すにはあの子が自身の力を最大限引き出せる能力が必要でしたから」
「だから選ばせたと……はぁ、まったく、今のお主をあの子に見せたらどうなるかねぇ。それに、正直俺には今のあの能力ではあの子が"あいつ"を殺せるとは思わんがなぁ」
「……概ね同意見です。が、あの子は生きる為なら二手三手……いえ、もしかしたら百以上の策を作るでしょう。その性格がいい方に転がってくれれば良いのですが…」
「……それは博打だなぁ。"人神 イエロ"よ」
「貴方には言われたくないですね。"主神 ゼウス"様」
「ガハハ!まあな!俺も"あいつ"を殺す為に色々して来たが、人間を使うのは今回が初めてだ……が、主神と氷神の加護を持ってるし、何よりあの子はお主が唸るほど生存本能とやらが凄まじいようだ。であれば、可能性が無いわけでは無かろう」
「えぇ、私はその僅かな可能性に賭けましょうかね」
「ふむ…そうだな。俺もその僅かな可能性とやらに賭けてみようか」
「……それじゃあ賭けの意味が無いですねぇ」
「ふ…ふふ…たしかにそうだな!だが、俺はあの子がその生存本能とやらでやってくれると思っている。お主も同じなら賭けなどせず、ゆっくり見守ろうではないか」
「そうですね。どうか彼に……いえ、彼女に神々の祝福があらんことを…。」
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