第3話

田中・光村・頭が冷えてきた・亮は改めてバーニング・ゴッド・デビル・女神ちゃんの姿を見た。薄衣一枚に覆われた妖艶にして規則正しくして健康的にしてダイナマイトにしてトワイライトな肉体は六月の雨に濡れて布地の意味を剥いでしまっていたから光村は夢・VR・うつつの心地してバーニング・ゴッド・デビル・女神ちゃんの片乳房を鷲掴みにしたところバーニング・ゴッド・デビル・女神ちゃんは間違いなくこの世界に受肉して顕現しており、もう片乳房も鷲掴みにしたところ、どうやら双乳はトポロジー的に同一の物質であったが上に下に右に左にしてみれば上に下に右に左に均衡が破れ、遂には世界の中心に足る突起が聖なる丘に浮かび上がって鼻血が出た。


 こ、こら、お姉ちゃんのおっぱいを触る前には一言なきゃダメなんだぞ(>_<)


おぉ、我らがバーニング・ゴッド・デビル・女神ちゃんは聖乳房を乱雑に扱いたる大罪人光村をお赦しになった! 一言! たった一言のまじないあればバーニング・ゴッド・デビル・女神ちゃんの聖乳房は光村の両手の内に置かれることが聖典に刻まれたのだ。ハレルヤ! 時に雨。六月の元荒川を疾駆する大洪水の水龍は曲がりくねる堤防に体を幾たびも打ちつけながらも決して人家侵略ほどの勢いを得られないことを田中光村亮はバーニング・ゴッド・デビル・女神ちゃんの奇跡によって遮光カーテンを吹き飛ばされた私室から見下ろすことができ、壁の内を領土と見なす人類の誤謬によれば世界はまるごと光村の私室となって普天の下に光村の私室に非ざるは莫く率土の濱にも光村の私室に非ざるは莫しつまりは世界のプライベートな秘め事もてバーニング・ゴッド・デビル・女神ちゃんに猥褻的眼差しを向けようともパブリックであり、人の道理に即したところで領地の占有が承認によって可能であるならば外宇宙までを掌握するバーニング・ゴッド・デビル・女神ちゃんに意見できるものなどないのだから外宇宙まで含めて三千世界はバーニング・ゴッド・デビル・女神ちゃんのものであり、そして光村のために働くことを決意なされたならば、今や世界の一切は田中光村亮の掌中にあるべきであり、そしてその世界とは斉天大聖孫悟空を手のひらで踊らせた如来のごとく常にバーニング・ゴッド・デビル・女神ちゃんのたなごころに守られているのであって、光村はバーニング・ゴッド・デビル・女神ちゃんとは何ものかと今さらのごとく尋ねるのだ。あぁ、聞けよ民衆! 光あるとこ、闇あるとこ、全てに遍く民衆よ! 聖地へ向かう人々の孤独な行列は今やバーニング・ゴッド・デビル・女神ちゃん目がけて時速20キロの駆け足で行進をして高らかに歌い上げるオラトリオは、バーニング・ゴッド・デビル・女神ちゃん降誕を祝福する第一節だ。


 お姉ちゃんは亮くんのお助けをするためにやって来たんだぞ~(^0^)


田中・光村・惨め・亮の沈まぬ西陽の午後が、今メキメキ音立てて終わりを迎えようとした。バーニング・ゴッド・デビル・女神ちゃんはかく仰せだ。即ち、田中光村亮のような不正義によってすり潰された若人の青き苦悩の日々を、天上と地獄と三千世界の外側の理をもて輝かせるため、その一歩として田中・光村・サンプル動画・亮の爛れた生活にまずは終止符を打った、と。そのために、あぁ、慈しみの涙よ、憐れ誘う眼差しよ、バーニング・ゴッド・デビル・女神ちゃんは双乳に挟み隠したる杖、即ちダーク・デビル・アーク・イビル・聖杖を取り出して一振りすれば垂れ込める雨雲に一点の穴開き、ハレルヤ! 田中・光村・無明・亮とともにバーニング・ゴッド・デビル・女神ちゃんを希望の光が包み込んだ。


 お姉ちゃんが明日から一緒に学校に行ってあげるからね(*^_^*)

 亮くんと一緒に頑張るぞ~(*´∀`)


おぉ、おぉ…………涙が止まらぬ。これこそが愛! 分からぬか、分からぬか、バーニング・ゴッド・デビル・女神ちゃんの愛の全貌を! それはそれは、哀! バーニング・ゴッド・デビル・女神ちゃんのお言葉を、無法者どもは字面通りにしか受け取れぬさもしい心と頭しかないのだろうが、大銀河の二つ星の間より生まれ、大天使であり大悪魔であり創造主であり破壊者であり絶対的な徳でありその歩まぬ道こそが不徳となるバーニング・ゴッド・デビル・女神ちゃんのお言葉を理解できようとは我々の誰も思ってもみないがバーニング・ゴッド・デビル・女神ちゃんの御心は誰も踏みつけにはしないのだから教えてやろう、即ち、バーニング・ゴッド・デビル・女神ちゃんが明日から一緒に田中光村亮の在籍する高校に通ってさしあげるのだ、と。見よ、バーニング・ゴッド・デビル・女神ちゃんがいかなる姿態もて光村に対するか。聖なる双丘を畏れ多くも万有引力が堕天させんとするがために、いかに重たく実っているかがありありと分かるあのポーズであるが、主役は聖乳房ではない、人の心とは面相にあってバーニング・ゴッド・デビル・女神ちゃんの場合にも同じであり、バーニング・ゴッド・デビル・女神ちゃんが微笑まれれば、ハレルヤ! 田中・光村・ずぶぬれ・亮は驚いた。それはそうとも。バーニング・ゴッド・デビル・女神ちゃんほどの存在が光村のために御身を尽くそうというのだから欣喜雀躍の乱舞をするかと思えば、しかしあまりに残念、田中・光村・道理の分からぬ・亮は首を振った。な、なんだって言うんです。いきなり僕の部屋を吹っ飛ばして、あ、あなた痴女ですね! 扇情的魅惑のボディからは常に不可視の光線が拡散されて光村を包み込むが、なにくそ光村は部屋に閉じこもっていたからものを知らなくてバーニング・ゴッド・デビル・女神ちゃんがどれだけ素晴らしい存在であるか知らないのだろうか、いいやそうではなく学校、学校、学校、恐ろしい響きだ、なんだって、学校にともに行く? じょ、冗談じゃないですよ、あそこはリンボだ、あなたのような人が近づけば陵辱され聖なる玩具にされて仕舞うに違いないと光村は聖乳房の頂点に灯る二つのオオアマナの清らかさは清純なるピンクというよりも白く見た。光村もまた心優しき少年であった。心中においてはバーニング・ゴッド・デビル・女神ちゃんの慈悲を理解して黄金の秋の稲穂のごとく頭を垂れて然るべきだが、しかし光村は地獄の生還者であったから獄卒どもの下卑た視線にバーニング・ゴッド・デビル・女神ちゃんのベツレヘムの二つ星が晒されることが我慢ならないに違いない。それに地獄へ向かおうにも地獄で使う教地獄書も、地獄へ向かうのに着用する地獄服も全て聖なる雨に洗い清められて地獄の臭気を脱してしまって地獄には恐らくなじめないだろう。しかしバーニング・ゴッド・デビル・女神ちゃんは聖女にして大罪人にして地獄の思想を胸いっぱいの愛で伝導せし救いの御子にして全なる宇宙であるから大いなる意思によって、ダーク・デビル・アーク・イビル・聖杖を一振りして外宇宙まで含めて光村の私室としていた世界を圧縮して光村の部屋を元通りにした。


 お姉ちゃんにかかれば、これくらいお茶の子さいさい(^o^)

 壊れちゃったものを全部もとにもどしてあげるから心配ないよ〜(*^_^*)

 

めくるめくスペクタルの大奇跡を目前にしていよいよ田中・光村・呆然・亮は全宇宙の支配者たる存在から一介の高校生へと成り、明日の朝より学校へ向かうことを唯々諾々と承知し、ために身を清める必要があり、バーニング・ゴッド・デビル・女神ちゃんの奇跡によりて指した陽光に乾いたとはいえ冷えた体を光村は風呂に入るが慈悲あるバーニング・ゴッド・デビル・女神ちゃんは光村の一人で風呂に入るを善とせず、全き聖乳房を揺らして打ちつける音色はオラトリオの最終節を飾るに相応しい盛り上がりを光村に賜り、ハレルヤ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る