第2話【なんで離さないの?】

「それで? どうだった?」

「どうって何が?」


 俺は床に座り、ベッドの上で寝ころぶ彩花の質問に答える。

 質問に答えるというか質問の意味を聞いたんだけどな。


「さ、さっき悠太が私のむ……胸を揉んだでしょ?」

「あ、ああ」


 なんか冷静になって聞くと俺何やってんだよ……って思えてくるな。

 

「だ、だから……その、初めて揉んだ胸はどうだったの?」

「どうだったって言われても……?」


 すると彩花は自身の胸に両手を当てた。


「こ、これでも結構自信あるんだけど……」


 彩花は少し恥ずかしそうに俺の方を見てきた。

 今までは平気な顔して俺の事を揶揄ったりしてきたくせに……。

 

「初めて触ったんだから自信あるって言われても他と比較できないんだけど」

「比較なんてしたら許さないから」

「するつもりねぇよ」


 彩花は俺の事をなんだと思ってるんだよ……。

 

「それなら良いけど。悠太が揉んでも良いのは私のだけだから」

「じゃあ遠慮なく」


 俺はそう言って彩花の胸に手を伸ばした。

 勿論揉みたいからと言う理由で手を伸ばしたわけじゃない。

 今まで俺の事を揶揄ってきた彩花を、今度は揶揄い返してやろうと思ってそうした。


「ちょ、ちょっと! 私今揉んで良いなんて言ってないんだけど! そ、そんなに私のを揉みたいの……?」

「いや? 別に」

「む。なんか嫌だ」


 彩花は頬を膨らませてベッドから起き上がった。

 そして俺の手首を掴んできた。


「え、なに?」

  

 そして彩花は俺の手を無理やり自身の胸に押し付けてきた。


「な、何してるの……?」


 まさか自分から触らせに来るとは思わなかった。


「ど、どう。柔らかいでしょ」

「そ、それはそうだけど……」


 てかそれはさっき触ったから分かる。

 

「でもまだ下着付けてるから、下着取ったらもっと柔らかいんだよ?」

「へー」

「む、なんか興味無さそうなの嫌なんだけど」

「そんな事言われても……」

「本当は下着無しで触りたいんだろうけど~、それはまだダメだよ?」

「勝手に触りたいってことにするな」


 すると彩花は「そんな照れなくても良いのに」とまた俺の事を揶揄い始めてきた。

 本当に懲りない奴だな……。


「だって悠太、私の胸触ったままじゃん」


 そう言われ、俺は直ぐに彩花の胸から手を離した。


「私そんなに力入れてなかったから直ぐに離すことできたのに中々離さなかったね」

「…………話に夢中になってただけだ」

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