一幕三章「魔法幼女と魔法少女」
終幕と報酬
殺戮。
後世まで語り継がれる出来事は移動時間を抜けば数秒で終わった。
コトの首謀者であるホワイトは魔力不足で眠りについた。
魔物は魔石を抜くことで素早く骨まで腐食し、逆に魔石をそのままにすることで加工肉より少し長持ちする。
ゴブリンナイトやコボルトン以上であれば肉以外は有用な素材となるため、戦闘に参加できない魔狩人たちがゴブリンやコボルドの魔石だけを回収し、専門の回収業者がそれ以上の死体を回収した。
しかし中には骨まで寸断された個体も多かったり、魔石が分断されたりしている個体もいた。
衝撃に弱く、急所の一つとして数えられる魔石を生きている魔物の体内(さらに脆くなる状態)で割らずに両断されているその姿は、これまで回収してきた魔物の中でも異質で、回収業者は悪寒を感じながら黙々と回収した。
その後、回収業者と解体業者がヒイコラ働いている間に生き残った魔狩人が死んだ者たちへの黙祷と、生き残れたことへの祝福パーティーを開き、明るい雰囲気で夜を明かした。
^^^^^
その翌日の昼頃。
領主に呼び出されたホワイトは領主の前に居た。
最も豪華な対応室の上座に座ったホワイトは香りの強い紅茶と貴族のティータイムでしか見たことがない三段になった銀食器にミニスイーツが乗ったモノ(なんて名前?)を好きに飲み食いしていいと言われ、遠慮なく飲み食いしながら少し汗の量が多い領主の言葉を待つ。
「話はまだですか?」
流石に紅茶3杯目になっても話し出さない領主に業を煮やし、カップをおいてから話しかける。
「し!つれいしました。話させていただきますね!はい!」
領主から話された内容は倒した魔物の報酬の総量と魔法少女としてのことだった。
報酬の総量は男爵貴族の生涯の稼ぎ3人分ほど。
金額で言うと金貨1200万枚ほど。
「大体の数と傷の具合から見て、まあ妥当だな。」
「そんなものなんだ。」
「っ、す、すみません、流石にこれ以上は支援支度金から超えてしまいまして…」
ホワイトの声しか聞こえない領主は内心ビックビクだ。
なぜならば、魔法少女と呼ばれる返信する少女たちは国単位で囲うほどの逸材である上に勇者に匹敵する能力を持つ。
どんな権力・金力も眼の前の殺意あるナイフに負ける。
そして、魔物を殲滅したあの力がこの街に向けられたら…
「いや、領主サマに行ったわけじゃないです」
「そ、そうですか…?」
イマイチ容量がつかめない領主だった。
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