転生と町
真っ白い空間に漂うホワイトはノーマンと話していることを自覚しだした。
不思議と自分が死んだことと、なぜ死んだかが分かっていた。
死因は酸素不足による急性中毒死。
異世界には酸素の代わりに魔力があり、魔力の代わりに酸素がなかったのだ。
魔力で作られた魔法幼女形態とは違い、元の世界で生きていた体では酸素の無い世界に耐えられず、死んでしまったのだ。
「いやはや、課題の多い魔法だね。ん?なぜ私も死んでるのか?それはもちろん、君の魔力に依存してリボンとして生きていたからだね。君の死により魔力がなくなり、魔力欠乏で死亡というわけさ!ははは!」
笑える状況でもないはずだが、ノーマンは愉快そうに笑い声をあげる。
「まあ、心配しなくても大丈夫だ。今は君のこの世界専用の肉体をグレイが構成している。この世界はそれが出来上がるまでに昇天しないようにグレイが作った待ち時間を過ごすための世界だよ。」
グレイ…と、ホワイトがグレイのことを考えるといつの間にか姿が魔法幼女形態に変わった状態でグレイが手元に在った。
「どうやら君をすごく気に入っているようだね。僕の知っている方法で呼び出される異世界人たちはみんな魔力と武器に振り回される情けない者たちだが、君は別に見えるよ。」
赤い宝石が妖しく光ると徐々にホワイトの姿が変わっていく。
「もうできたみたいだね。では、次会うときはリボンの姿だ。」
ノーマンのいい笑顔が薄れ、景色は血の残る草原に変わっていき、ホワイトの意識も少しずつ落ちていった。
^^^^^
ホワイトが目覚めたのは見知らぬ部屋の中。
全裸でベッドに寝ていた。
周りを見渡せば横に薄い黄色のワンピースのような服がおかれており、読めない言語でメモが残されている。
「この服を着てと書かれているな、ふむ、面倒だからホワイトに私の読解力をコピーしよう。」
リボンはリボンをホワイトの頭に伸ばすと魔法を使用する。
先ほどまで不思議な記号に見えていた文字が読める文字に変化した。
すっと立ち上がったホワイトは服を取ると周囲をもう一度見渡す。
目に入ったのは窓だった。
全裸なのも忘れて窓に近寄ると大きく窓を開ける。
戦場と全く違うきれいなにおいのする風がカーテンを揺らし、光る街並みが見えた。
「綺麗…まるで夢みたい…」
人と風と太陽の町。
新天地で感じられる希望が、風を呼んだ。
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