7話
「す、すみません、第一王女様。一つ質問宜しいですか……?」
勇者三人組の一人、さっきゆうきと呼ばれていた彼が口を開いた。
ゆうきの見た目は、ザ・主人公だ。勉強もできるスポーツマンって感じ。
俺もそんな風にイケメンなら俺もモテたかな?
「いいわ。発言を許します。感謝なさい」
「我々は、元の世界に帰れるのですか?」
うわ、こいつ発言も勇者だよ。
いや、なんか召喚され続けてて忘れてたわその質問。
「無理よ。帰る方法なんて無いわ。むしろあなた達は、誇りある勇者となれるのよ?感謝すべきであって、帰る必要など無いのではなくて?」
なんかイライラしてきたな。自分の言うことは絶対と何か間違えてるのではないだろうか。自分勝手すぎるなこのお姫様。
「なっ……」
ゆうきがキレそうになったが、後ろの騎士が一斉に抜刀したのを見て口をつぐむ。
賢いぞ。ここでこいつに激昂しても意味はない。よく耐えたぞ。
「ま、いまの無礼な態度は私の寛大な心で見逃してあげるわ。感謝なさい」
このお姫様ひたすら感謝を聞かせとけば満足するんだろうか。
そのうち、わからせないといけない時が来るかもだな。
「無いとは思うけど、他に質問は有るかしら?」
「んじゃ、俺からいいですか?」
そう言って質問してみる。
「どうぞ。許してあげるわ。感謝なさい」
「はいはい。分かったから質問するよ?」
俺の不遜な態度に、後ろの騎士がざわつく
「この世界に、レベルとかステータスってあるんですか?」
「は?何言ってるの?」
「いや、何でもないです」
あっ、ないんだ。
あと、勇者三人組の女子二人は、非常に冷ややかな目で俺を見ないでくれ。
男はこう言うの気にするんだ。ゆうきは分かるわ〜って顔で見ていた。
おっ、もしかしてゆうき隠れオタクなのか…
そして俺は、姫様の答えに内心ほくそ笑んでいた。
これなら、ある程度は強くなれるかも知れない。
思惑が当たってたらだけど。
ーーーーーーーーーー
「では、諸君等にはまずこの石版に触れてほしい。その後、体力測定、魔力測定をおこなう。これは、三人の勇者が誰なのかを判断するものだが、勇者で無かった者を邪険に扱うことはしないから安心せい」
国王の最後の台詞は俺に向けてだな。ま、勇者でなくても加護という人外能力を備えているから重要な存在に変わりないんだから、丁重に扱うべきではある。
「じゃ…僕がやってみます」
ゆうきの加護は『限界突破』だった。
ちなみにこの石版で分かるのは加護の名前だけで、その詳細は分からない。
ついでに、他の二人の女子の加護は『魔力親和』と『結界術』だった。
ちなみに前者が葵で、後者がかなだ。
つまり、龍斗が剣士、葵が魔法使い、かなが結界師的と言う役割になる。
で、俺…俺?無能のニートで加護ないよ?笑うなよ。
なんだかなぁ、この仲間外れ感。
肉壁とかそんな感じになるか?冗談じゃないよ。
この後、体力測定、魔力測定を行った結果、龍斗は体力測定で人外の能力を示し、かな、葵は魔力測定が人外みたいな結果だった。
俺?ズタボロだったよ。魔力はあるにはあるが、操作の才能がゼロ。成長の見込みなし。ねぇ、える?ちょっと酷くしすぎじゃない?
「いえ、そんなことないです。」
そうですか。俺のこっちの世界友人0説出てきちゃったよ。
「……」
やめて?!その無言。
なんか吸血鬼になって体力が上がっていると推測したんだが、もしかしたら外れているのかも知れない。あの殴られた近衛騎士が弱すぎただけなのかもな。何で近衛やってんだアイツ。
そっからは祝宴の席に呼ばれ、さして旨くもない飯を食べつつ、国王様から励ましの言葉を貰い、第一王女から蔑みの言葉を貰ったりと大変だった。
その後、俺たち四人にはそれぞれ王城の一室が貸し与えられ、侍女も一人ずつ遣わされた。なんだかんだで待遇いいよな。他の召喚系主人公みたいに突然やっかい払いされたり、強制転移させられたり、信じていた第一王女に裏切られて身ぐるみ剥がされたり、クラスメートに裏切られて古代迷宮に閉じこめられたりしないだけましだ。
まあ、彼らより現時点でいい状況なんだから前向きに考えよう。
彼らは決まって最強になったり成り上がったりするが気にしない。
だって俺女神様公認だし…
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皆さん読んでいただきありがとうございます。
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