6話

「ようこそ!勇者様方!」


なんか言ってるよ。ふざけてるね全く。


「なんだここ?どこだ?」

「ゆうき?かな?」

「えぇ…どこですかここ…」


傍らがうるさい。

横を見てみると、俺と同い年くらいの三人が騒いでいた。


「む?勇者は三人という伝承だが……」


 ふむ。

 勇者は三人。

 俺と一緒に召喚された三人は、お互いが知り合い。

 俺は他人。

 ふむ。





「最後の最後で巻き込まれ召喚かよ!!!」


 叫んだ。


ーーーーーーーーーー


「ということは、こちらの三人が勇者様で、お前さんは巻き込まれただけの一般人だと?」

「そう思います。ほぼ確信を持ってます」


 最初に出迎えてくれた、多分国王様と会話。

 ちなみに他の三人はまだ茫然としている。


「ふむ。とりあえず、この石版に触れてくれるかの。これは勇者様に贈られたスキルを識別するものなのだ」


 国王様が石版を持ってくる。


「じゃあ、とりあえず俺から触れてみますね」

「頼む」


 石版に触れると、石版がわずかに光り、文字が表示された。


『無し』


「スキルがないとは…使えんな」


おいおい。どうなったんだ?エル。

「はい。マスターまず私が能力、スキルを無くしました。」

何やってくれてんだ?!?!このままじゃやばいぞ?!

「マスター聞いてください。あのまま能力、スキルを曝け出せば、魔王と勘違いされ、今すぐ王国近衛団が来て、殺されていたでしょう。まぁ私がいるので殺されるなど、考えられないのですが…」

まじか…流石俺の相棒だ。これからも頼りにしてるよ。

「お任せください」


戻ってきた俺は状況を把握しようと周りを見回す。

国王と偉い人たちが頭を悩ませている間に、どうやら残る三人が復活したようだ。



「あ、あの、状況を説明してほしいのですが……」

「む、すまん、忘れとった。こやつがやたらと状況にとけ込んでおったからつい、な。詳しい話は、あなたがたを召喚した、ワシの娘、第一王女に聞くがよい」


そういって国王様は後ろを差す。

そこには金髪ツインテールで少し小柄な少女が立っていた。


「ふん!あなたたちが異世界の勇者ね?私が召喚してあげたのよ?感謝なさい!」


うわぁ…苦手だなぁあの生意気王女様。


「さあ、はやく私の前に跪きなさい!」


そう言われ、俺たち四人はチミッコお嬢様に跪く。

さっきから動いていないが、結構多めの騎士達が俺たちの周りを囲んでいるのだ。どっかのラノベの主人公様はここでタンカ切りそうなもんだが、賢くいくなら素直に従った方がいい。


しかし容姿は第一王女は小柄で幼く、将来は美人になることが確信できる。

超絶美少女だ。性格がキツいことが唯一の欠点か。それもどっかには需要がありそうだが。


「状況を説明するわ。一度しか言わないからちゃんと聞くことね。この世界には、人間、亜人、魔族がいるわ。そのあたりの話はまた次の機会にするわ。その、魔族は人間の敵で、魔王を頂点に国を作り、私たち人間の領土を侵略しているの」


へぇ、結構いるんだな。で、亜人はどこいった?


「勇者を召喚して、魔族に対抗しようとしてるの。そしてその勇者達を各国で育て上げ、勇者軍を作り、魔王軍に対抗するという寸法よ? どう? 素晴らしいでしょ!」






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