第13話
振り向くとそこに立っていた少女も美人の部類であった。
大きな目、通った鼻筋、髪はロングヘアを頭の横でまとめてポニーテールにしている。顔だけ見ればどこかのお嬢様のよな容姿なのだが、黄色いジャージを着ており、つり目がかった表情と先ほどの言葉使いからどこかボーイッシュな印象を受けた。
少女は続ける
「いい年して恥ずかしくないのかよ、女の子に詰め寄るなんて。」
俺まだ高校生なんだけどな。と突っ込みたかったが少女は今にも殴り掛かってきそうな雰囲気だったので、慌てて誤解を解こうとした。
「違うんだ。聞いてくれ。俺は彼女に聞きたいことがあって。」
言いかけたとき俺は顔に衝撃を受けた。勢いあまって弧を描き宙を舞った後地面にたたきつけられた。
「問答無用。どう見ても彼女が嫌がっているようにしか見えなかったぞ。」
どうやら俺は少女から鉄拳を食らったらしい。その衝撃と地面にたたきつけられた衝撃でうまく息ができない。
少女が俺の胸ぐらをつかみもう一発入れようとこぶしを振り上げたとき
「待ってください、その人が言ってること本当なんです。」
朝比奈さんが必死の思いで声を絞り出していた。
朝比奈さん、できれば初撃の前に止めてほしかったよ。
「いやー、ごめんごめん。こちらの早とちりみたいで。」
「お前な、謝る気あるのかよ。軽いノリでみたいなテンションで人殴りやがって。」
俺たち三人は喫茶店に戻り、俺は朝比奈さんに手当してもらいながら悪態をついていた。
「ごめんて。コーヒーおごるからさ、許してくれよ兄ちゃん。」
俺はお前の兄ちゃんではありません。と心の中で叫びつつ、ハルヒとは別の部類の美人に兄ちゃんと言われて少しうれしくなっている自分に恥ずかしさと悔しさを感じつつ俺はどぎまぎしていた。
あはは。面白い兄ちゃんだな。と少女は満面の笑みを浮かべた。
「私、緑川かおりっていうんだ。ヨロシク。あんたたちは。」
「朝比奈みくるです。その子はキョン君です。」
かおりはお腹を抱えて笑い出した。
「なにそれー。あんた犬みたいな名前だな。」
どうやらかおりはおれの名前を聞いてツボに入ったらしい。
「うるせー。お前こそ名前こそお嬢様だけど、中身はチンピラじゃねーか。」
「なにー。もう一発いれてやろうかー。」
冗談冗談。とかおりは言ったが目が笑っていない。
俺は恐怖を感じつつ、朝比奈さんに聞こうと思っていたことを思い出した。
「あのさ、朝比奈さんさっきの件なんだけど。」
「もう解決済みですよ。」
へ?おれは頭にはてなマークが浮かんでいるのを感じたが、満面の笑みを浮かべた朝比奈さんはそれ以降禁則事項ですと何も教えてくれなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます