第11話

「なあ、ハルヒ。もっとこっちにきて花火しようぜ。」

俺は渋々というより指名感に近い形でハルヒに話しかけていた。

「こっちがいい。」

ハルヒは小さな声で答えた。

俺たちとは背を向けてしゃがみながら線香花火をしているその姿は、見慣れない浴衣姿も相まってなんとも奥ゆかしく感じる。

しかし、俺はそんなハルヒに苛立っていた。いや、焦っていたという方が正しいかもしれない。

「行ってあげた方がいいですよ。」

古泉が諭すように言う。

仕方ない。ため息をつきながら俺はハルヒの隣にしゃがんだ。

「何をいじけてるんだよ。お前らしくもない。」

「う、うるさい!こっちくんな!」

ハルヒは驚いた拍子に急に立ち上がった。

線香花火の玉が地面に落ちた。

さらに立ちくらみか、ハルヒが背中から倒れそうになる。

俺は咄嗟にハルヒを抱き止めた。

ハルヒと目が合った。がハルヒはすぐに目を逸らす。ひどく赤面している。

「お前、大丈夫か?」

鏡がないからわからないが俺も顔が赤くなっているみたいだ。

「なわけないじゃない。」

「え?」

「大丈夫なわけないじゃない!」

ハルヒはそういうと、走って住宅街へと姿を消した。

「この展開、あと何回続くの?」

俺は長門に聞いていた。

長門は2本の指でピースした。

俺はあーあと2回かー。と思った瞬間、指でKの字を書いた。

俺が呆然としていると

「つまり、あと2000回。」

目の前が真っ黒になり、俺はポケモンセンターへと担ぎ込まれた。

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