第2話 赤い電話

 少年の家には赤い電話がある。その赤い電話は通話が出来ない壊れた電話機だった。お母さんはそれでも赤い電話を家に置いている。少年は家で一人の時には、その赤い電話で通話ごっこをしていた。

 ある日のこと、少年は家で一人、赤い電話で通話ごっこをしていた。つながるはずのない赤い電話がつながったのである。少年はもしもしと通話ごっこを続ける。赤い電話からは男性の声がする。少年はまだ気付かない。その赤い電話はつながらないことに。

 すると。

「今から、迎えに行くね」

 男性の声がそう言った。

 それと同時に帰宅していたお母さんが顔を青ざめて少年を見て赤い電話を取り上げた。

 お母さんはこう言う。

「これは死んだお父さんの物なのよ」

 そうなると、迎えに行くね、は何だったのか? もしも、そのまま通話ごっこを続けていたら?

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