ゲーム4:鈴川早織クイズ①
誰が早織を自分のものにできるか競うグループ
参加者 健吾・勝太・弘人・いおりん♪
伊織『はい、十分立ちました。が、もうちょっとゲームの準備に時間がかかりそうなんで、あと三十分わたしにちょーだい?』
健吾『了解しました』
勝太『OK♪』
弘人『りょーかいでーす』
健吾『おい、弘人、お前マジで絶対に潰すからな?』
弘人『潰せるもんなら』
勝太『うわー、弘人ってそういうやつだったんだー』
弘人『こういう人間ですみませんね』
健吾『うっせぇ!!』
勝太『あ、健吾キレたからちょっとやめておこう』
伊織は、一階へ降りて来て、ノートパソコンを開け、ゲームの用意を始めた。
そのゲームというのは、早織の性格や男子の好みに関するものだ。
早織の性格を一番知っている子は、誰なのだろう。
まあ、これが有利なのは、やっぱり……勝太ではないだろうか。
健吾は一番不利そうな気がする。あの子は空気を読むということを知らない。人間観察なんかできそうにもない。
だから、これは私の作戦にハマるだろう。
『鈴川早織クイズ』
シンプルな名前にしておいた。
今開いているのは、“クイズメーカー・エクセレント”というものだ。
マルバツクイズや択一クイズ、記述式、穴埋め、並べ替え、組み合わせ……と、多彩なクイズがある。
私は、早織の性格をあれこれ考え始めた。
――男子たちを、思いのままに遊んでやる。
早織は勝太の家から、一時間ほどかけて、帰ってきた。
寄ってきたのは、カフェだ。HappyHOT。勝太と予定した場所だ。そこで、色々メニューを漁ってみた。
勝太が一番好みなのはどれだろう。
「ちょっと、罪悪感あるなー」
みんな頑張っているのに、私だけ先駆け的なものをしてしまっている。お姉ちゃんに言ったら、かなり怒られるだろうか。
「あ、お姉ちゃん何やってるの?」
伊織はノートパソコンの上にうずくまっていた。
さっきまで開けていた気がするのだが、気のせいだろうか。
「あ、早織。お帰り」
「何やってたの? なんか、バタバタしてたけど。あ! 一馬先輩にラブレターでも打ってたんでしょ?」
伊織はそれに関してしばらく黙ってしまった。と、次の瞬間話し出した。
「え? いや、まさか、そんなわけないじゃん。ちょっとここで本読んでたら寝てただけ」
「本、無いけど?」
「本? あ、本はね……あれ、どこ行ったんだろ。無くなったんだけど」
「え? 無くなったってヤバくない? 探そうか。なんていう本?」
「……今日この世界で一つの恋が終わる」
「ああ、あれか。探してみる」
早織は階段を駆け上っていく。
――分かってるって。どうせ一馬先輩にラブレター打って、それを隠そうと言い訳してるんでしょ? ま、かわいそうだから嘘に乗ってあげよ。
勝太『あれ? 待って、もう三十分過ぎたけど、全然伊織先輩入ってこない』
健吾『遅いな』
弘人『入念にゲーム作ってるんだろうね』
勝太『まあ、気長に待つとしようじゃないの』
弘人『このゲームは勝てる気がするんだよなぁ』
健吾『は? 何でだ』
弘人『伊織先輩、なんか小悪魔で意地悪だから、面白がって僕を残らせてゲームを面白くしようって、そう思ってるんじゃないかな』
健吾『んなわけないだろ。伊織先輩はすぐにお前を落としにかかるんじゃないか?』
勝太『でも、弘人が言ってるの意外と間違ってないかもな……』
健吾『嘘だろ? ヤバくないか?! 二位にはならないとな』
伊織『お待たせしました!』
勝太『あ、入ってきた! 遅かったじゃないですか。何してたんです?』
伊織『いや、早織になんか邪魔されたからさー』
弘人『健吾は、早織っていう言葉が出た途端顔真っ赤にしてるよ』
健吾『あ? いや、そんなことねぇよ』
伊織『健吾君相変わらず口悪いなあ。こんなのだからペナルティ受けたんだよ。ま、いっか。喋りはもう仕方がないしね』
伊織『さてと、私頑張って作ったんだよ、これ』
伊織『リンク:鈴川早織クイズ』
伊織『それじゃあ、第四ゲームは鈴川早織クイズです! 取り合えず、リンクに入ったらもうクイズできるから、そのまま頑張って解いていって。やり直しは出来ないから、お気を付けを☆』
弘人『待って、これ僕得意かも……』
勝太『いや、これ俺行けるかもしれん』
伊織『それじゃあ、今から四十分のうちに解いてくださ~い。スタートから四十五分以内にこのグループ入ってこなかったら追放だからね♡』
伊織『それじゃあ、始めまーす。良ーい、スタート!』
伊織『ごめん、誤字った』
早織は、なんとなく伊織の部屋に、ラブレターとか写真とかそういうもんが隠れているのではないか、と思って侵入してみた。
まあ、これは十分前くらいの出来事なんだけども。
で、姉の部屋をガサゴソガサゴソと漁ってみた。ラブレターはなかったけれども、ただ一つだけ収穫があった。
ノートだ。
“秘密のノート”と書かれたそのノートはほぼ白紙だった。でも、パラパラとめくってみると、いくつか文字が書かれたページがある。
『一馬君の好きなところ』
『ラブレターテンプレート』
『一馬君と電話したこと』
とか、そんな感じで明らかに五十嵐一馬が好きそうな文章がたくさん書いてあった。
「面白いじゃないの、あのお姉ちゃん」
と、ベットの真ん中にスマホが置いてあった。
少し気になって覗いてみると、そこにはLINEがあった。しかも、勝太とかとのLINEの履歴が。
これは……何を意味するのだろう。
と、階段を駆け上る音がしたため、少ししか見ることができずに、早織は伊織の部屋を出た。
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