第44話 納得 × 抗えるわけがない

「あのさ、僕だけとりあえず元の服に戻していいかな? 流石に特殊メイクには負けるし、なんか恥ずかしくなってきたよ」


~少し前~


みんなで話をしている途中、リアムとルーカスが来て扉を開けた瞬間、腰を抜かしていた。


eightersは大爆笑した。


ミイラタラータ』の表情はわからない。


彼らには仮装することを内緒にしていたらしい。


リアムは、政治家の息子で来年下院議員になるべく立候補をするそうだ。今は、父親について修行中なんだとか。


ルーカスは、映画監督の息子で、今は父親の会社で、CG・web管理・監督助手をしているとか。


暫くみんなで話していると、リアムとルーカスが英人に質問した。


「で、英人さんはどんな仮装テーマなのかな?」


恥ずかしい……


『議論チャットを見ていた人はわかるのだろうが、やはりそこは説明しづらい』


それを察したクリスティーヌが、そんなこともわからないの? とばかりに詳しく説明してくれるのだが、むず痒くて羞恥心に苛まれた。


リアムとルーカスは、聞いちゃいけない質問だったと謝罪してきた。


「いいんだよ。議論チャットを見ていないとわからないし、まだ空想生物なんだしね」


まあ、気にしないでおこう。


また暫くして、ワンがビジネスパートナーを紹介してくれるということで、Webカメラを繋いでくれた。


画面がうつった瞬間、彼は椅子から落ちて画面から消えた。


彼は、アントニオでスペインを中心に様々な会社を経営しているらしい。


eightersは笑っているのに、『ミイラタラータ』の表情はわからない。


いくつか会社名を教えてもらったが、その中に英人がわかる企業名もあった。


ワンが、アントニオと出会った経緯を説明してくれたが、最後に『サラとセレナのおかげだよ』と付け足したので、また、彼女たちが『ama ama』を始めだした。


eightersが動画の編集をどこかの会社に業務委託したのは知っていたが、まさかこういうことだったとは。


『そりゃ簡単に、1人ぐらい見つけれるよね』

英人はやっと納得できたような気がした。


「で、英人くんはどんな仮装テーマなのかな?」


やっぱり聞かれて、今度はアンナがぶち切れた。


……


と言うことで、今に至るため、英人は普通に戻りたいと思ったのだ。


クリスティーヌが英人に話しかけた。


ちなみにだが、英人は3人がけのソファの真ん中に座っていて、クリスティーヌとアンナが両サイドから、もたれ掛かっている。


「少し見せて」


クリスティーヌは仮装した材料を何やら触っている。アンナは手の塗料を見ている。


そのあと『大丈夫そう』と2人が目を合わせた。


meltメルトに10秒入ったら全部すぐになくなるわよ。」


「ついでに私たちも一緒に入ってくるわ」

クリスティーヌとアンナがみんなに言った。


「そうだね。ならそうしなよ。ちょっと小休止しよう。1時間後にまたリビングで集合ね。僕たちは、気に入ってるからまだこのままでいいかな」

ワンがそう言ってみんなに一時解散を宣言した。


「さあ、こっちよ」


クリスティーヌとアンナが英人に寄り添って、meltメルトへ案内する。

裏口を出てトラック向かって一直線に歩いていく。


「ベン、荷台を開けて」

クリスティーヌが、運転手に叫んだ。


「あ、ベンはうちの執事兼運転手なの」


『こっちも金持ちかよっ!まあ、そりゃそうか』

英人は言葉にならないよう心で叫ぶ。


「さあ、入りましょう」

セレナが英人の手を引く。


3人で黒い液体meltメルトに入る。


「頭まで10秒ぐらい息止めて沈んでみて」


クリスティーヌが説明してくれた。


で、10秒息を止めて沈んでみた結果。


……


「すげぇ!本当に溶けた!」


『この液体meltメルトがすごいのはわかったけど、間違いなく、全部溶けて3人とも全裸だよね?』


クリスティーヌとアンナが英人に寄り添って『あがりましょう』と促した。


英人は半ばあきらめて、液体meltメルトからあがった。


予想通り、クリスティーヌもアンナも同じ姿だった。


金髪と赤髪の美しいシルエットが月と星に照らされて、浮かび上がる。


meltメルトから出たクリスティーヌとアンナは生まれたままの姿で英人の心を鷲掴みにした。


クリスティーヌとアンナは、前戯になるのかならないのかもわからないぐらいで英人にハグキスをする。


英人もその感情を受け入れ、激しいキスとともに、自然と2人の胸へと腕が、指が、動いていく。


2人の声にならない声に、英人はもう一段階興奮度合いをあげそうになる。


『だめだ、1時間しか休憩はないんだった!』


そう思い、手を引っ込めた瞬間、2人に押し倒された。


「ちょっ、休憩は1時間しかないんだよ」


「「もう我慢できないわっ!」」



『抗えるわけがないっ!』

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