第14話 成長 × 心の余裕と戦略

色々あったが、リンもエミリオも『かなり成長している』と感じていた。


本当に色々あった。


ピラミッドの内部見学中に隠し通路を発見してしまい、そこに落ちて大事件になった。

ドゥオモでは進入禁止とわからず、誤って進んだが故に大事件になったり。

スペインでは情熱的な女性に求愛されたり。



閑話休題



見た目もかなり成長しているが、それ以上に心が超成長している実感が凄かった。


ブラジルからオーストラリアに行き、ギリシャに到着した頃、やっと彼らには心の余裕が生まれた。


彼らはエミリオの祖父母のところで長期滞在することにした。イタリアはちょうど、Vacanza(バカンスシーズン)に入り出していたため、街は比較的静かだったし、写真や荷物を整理するために環境も適していた。


彼らは久しぶりに、お互いのジョークを披露して、議論を進めていく。


……


結論が出た。ここからはSNSを駆使していく事にした。


『Voices of two mixed-race young people traveling the world』

~世界を旅する混血若者2人の声~


写真や現地の雰囲気、料理の感想等を面白おかしく記事にしては、アップロードしていった。


1日1国を目標に記事を作成していたが、リンとエミリオは写真を見ると思い出話に花が咲いてしまい、なかなか作業が捗らなかった。


あえて混血の情報は入れた。もしかしたら、同じような境遇の人から、メッセージがくるかもしれないと思ったからだ。


彼らが思っていたより、反響はあった。


まだ、未成年2人組ということもあったし、リンとエミリオは端整な顔立ちをしていたことから、単純に『ファンになった。頑張れ!』みたいなメッセージがきた。


メキシコの食堂で仲良くなってビールを奢ってくれたどこかの企業の若社長や、ピラミッド事件の関係者からも『無事で何より。また、来なよ』的なメッセージがきた。


「うっ…スペインからも、写真付きで連絡来てるよ」

エミリオが苦笑いしながら、リンの様子を見ている。


「今日はパ、パス」

リンが疲れた表情をしている。


それを見て、エミリオは「あはは」と引きつり笑顔を返した。


「ぼぼ、アップロードも出来たことだし、明後日ぐらいに出発しようか?」

リンがそう言うと、エミリオも答える。


「そうだね。祖父母に伝えてくるよ」


そうして、彼らは再度、世界旅行を始めた。

ここからは、自分達のSNSを最大限に活用した。


食事をするときは、店舗と料理の写真をアップロードするからと値引き交渉をしたり、次に行く予定の国をコメントしておくことにより、情報収集を行った。


そのため、イタリアから日本までは非常にスムーズに旅を進めることができた。


やっと、最終の地、日本に到着した。

日本は取り敢えず人が多い。

あと、思ったより寒い。


リンとエミリオは、中国に着いたときに、日本のHalfやMixが集まる会の代表から、メッセージをもらっていた。

『日本には来てないようだけど、日本には来るのかい?来る予定があるなら、僕達はHalfやMixで集まってるから、良かったらみんなに世界のことを話してくれないかな?自分のRoots故郷に行ったことがない人もいるんだ。君達にとっても、きっと有意義な時間になると思うよ』


リンとエミリオは相談の上、日本に到着した1日目は、いつも通りルールを聞いて、2日目には、この会に顔を出そう! そう決めて、メッセージを返信していた。


……


ぼくたちは7年後、エジプトと仲良くなる。


エジプトと友好関係を構築する。

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