第10話 勝負‼️

「じゃあ、オープンといこうか」


 サントスが先に伏せられたカードをめくった。

 やっぱりだ、♠️のK。絵札のカードで合計は19。

 対するクロエの表を向いているカードの合計は現状では17。引いたカードが5以上ならクロエの負けだ。サントスの借金を回収できなくなり無駄足を踏んだことになる。


 クロエは伏せたカードをめくった。







「これを持ってきな」


 サントスはキャビネットの奥から男ものの服を一式取り出しクロエの前に置いた。


「死んだ息子のものだ。これに着替えた方がいい」


 男ものといっても大人用ではない。


「サントスさんの息子は何歳で死んだの?」


「おまえさんと同じころかな。12才か……」


「あたしは13。もうすぐ14になる」


「じゃあ、なおさらこれに着替えなけりゃな。意味はわかるだろ?」


 クロエはうなづくと奥の部屋に入って着替えた。今日限りで少女らしい服装とはお別れを告げねばならない。


「似合うかしら?」


 クロエが着替えて出てきた。テンガロンハットを被り、トップスは綿シャツにベスト、ボトムスは厚手のズボンに鹿革のブーツといった、いかにもカウボーイふうのファッションだ。


「似合うじゃねえか。息子が生き返ったようだ」


 そういうと、サントスはうつむき目頭を押さえた。


「馬持ってきな。三頭ともくれてやる」


「そんなにはいらない。あの赤毛の馬がほしい」


「あの馬は売れんぞ。気性が荒すぎる」


「そうじゃないの、あたしが乗る!」


 クロエがきっぱりとした口調でいった。



 第11話につづく






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