第9話 ブラックジャック

 ブラックジャックのルールは簡単だ。

 数字はそのままカウントしJKQなどの絵札は10と数える。

 例外は1のカードで、そのまま1としてもいいし11にもカウントできる。

 カードの合計が21を超えたらバーストとなり負けとなる。

 相手のカードの合計を上回り21以内に収めたら勝ちだ。


 サントスは当然のようにディーラーをつとめた。わずかな確率だが、ブラックジャックはディーラーが有利だといわれている。


 サントスの2枚のカードで表を向いているのは♠️の9だ。あとの一枚はルールどおり伏せられている。


 一方、クロエは❤️の7と♦️10のカード。ここからサントスの手を読み21以内で彼のカードを上回らなければならない。


「ヒットするかね?」


 サントスが訊いてきた。ヒットとはカードの山からもう一枚カードを引いてくることだ。

 サントスの綿菓子のようなヒゲがもぞもぞと蠢いている。

 間違いない。伏せられたカードは絵札だ。合計は19。サントスは勝利を確信しているに違いない。


「ヒットする」


 どちらにせよ、このままでは負けは確定だ。

 震える指でクロエは山からカードを一枚抜いて伏せた。



 第10話につづく















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