第7話 根負け

「借金を取り立ててなにをするかは知らんが、親父さんの復讐だったら——」


「あたしは説教を聞きにきたんじゃないのサントスさん!」


 サントスの言葉を途中で遮ってクロエは被せた。


「説教じゃない。忠告だ」


「そのどちらもいらない。240デナル。いますぐ返して」


「借りたのは120デナルのはずだが」


「借金には利子がつくのよサントスさん」


「元本の倍か……まいったな」


 サントスが綿菓子のようなヒゲをしごいて天井を仰いだ。


「残念ながら手元にそんな大金はないよ」


「馬を売ればいい」


「商売道具を取りあげるつもりか?」


 話は先ほどから平行線のままだ。

 沈黙がわだかまり、気まずい空気が流れたがクロエは一歩も引く構えを見せていない。


「……いいだろう」


 とうとうサントスは根負けした。


「払ってくれるの?」


 クロエが身を乗り出す。


「払うさ。ただし、おまえさんが勝負に買ったらの話だ」


 第8話につづく






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