第4話 旅立ち

 牧師の計らいのもと、ごくわずかの参列者で葬儀は執り行われ、エディ・ライドは土の中に眠った。

 はっきりいえばエディは村人に嫌われていた。博打の取り立てのカタに、それまでそこに住んでいた牧場主一家を追い出したからだ。


 だが、ピーターの父親マイク・ペーターゼンだけはエディとは付き合いがあった。マイクは大のチェス好きでカネは賭けなかったが、毎日エディに勝負を挑んでは手もなくひねられていた。


 村長のホセ・ボダスは村長という立場上、参加しているに過ぎず、一人残されたクロエにこんなことをいった。


「ほかに身寄りはないかね?」


「ご心配なく、頼まれてもこの村なんかにいたくない」


 クロエは小さい胸を傲然とそらしていった。薄情な村人の世話になんかなるものかという態度だ。


「おい、クロエ!」


 それまで黙っていたピーターが口を開きかけた。


「さよなら!」


 なにかをいわれる前にクロエは背を向けた。

 背負ったナップザックには父親が託した三枚の借用書があった。それがこの先、どんな効力を発揮するかはわからない。

 だが、クロエはそれに賭けてみようと思った。

 父親を殺し、馬を奪っていった無法者の正体はだれなのか?

 父親とは関係があるのかないのか?

 三枚の借用書がそれを教えてくれるのではないかと、クロエは予感めいたものを感じていた。


 第5話につづく





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