タイトルから想像していた文体を、まず1話めで大きく裏切られる。キャラクターや周辺説明なども相まっての主人公への投影のしやすさ、世界への没入感が圧倒的だった。面白い作品は確かに存在する中、そのシーンへとたどり着くまでのページで読むのを諦めている人も多いと思う。しかしこの作品は1話目の完成度が全体のページの中でも相当に高く、たいていの方は読むとスワイプする指が止まらなくなるだろう。逆にいうと一話までハマらなかった人は恐らく先の話を読んでもあまり面白いと感じないのではないだろうか。その点では、レビューとしてはどうか怪しくはあるがまず一話を読んでみてほしい。それが全てだ。
愛する人のために全力で努力する姿、設定に逆らっていく主人公は、とてもかっこいいもので、応援したくなる。今日、この物語を読ませていただき、とても心が動かされたから、そのことを伝えるべく、レビューを書かせていただく。
拙い文章ではあるが、このレビューが読む人が増えることの助けになればと思う。
チートを使って無双し、幸せを掴む物語も爽快で読んでいて楽しいものだ。最初そのような物語だと思い、読み始めた。
この物語はいい意味でその予想を裏切ってくれた。純粋で、真っ直ぐな心を持った主人公が、一人の女性と結ばれるため、自分を削って、全力を尽くしたのだ。決して叶わぬ恋。それを叶えるために彼がしたのは、努力だった。
ひたむきに努力を続けた。言葉にすれば簡単だが、それを成すのにどれだけの覚悟が必要だろうか。努力している人はどんなに美しいかを感じさせられた。
次に、あえて描写を書かない、読者に想像させたその文章だ。
例えば、”彼女に話をしに行った。”で一話が終わったとき、二話目は彼女との話が入るのが普通だ。でも、この作品ではそれを書かないで、二話目は別の内容になる。主人公と登場人物でどんな会話が交わされたのか、その描写を読者の想像力に任せてくるのだ。すると、読んでいて楽しい。自分の期待どおりに物事が進むと気持ちがいいものだが、こうすると自分で好きに想像できるから、同じような気分になるのかもしれない。
書くべきところをしっかり書き、ところどころで想像させるその割合が、ぴったりだった。
物語はこのレビューを書いている現在まだ終わっておらず、続いている。最近、毎日楽しみにしていた小説が完結してしまったから、もう夢中になれる小説はないかと思っていたが、また続きが気になる作品が見つかるとは思わなかった。これからも一人のファンとして、ぜひ完結まで応援していきたいと思う。
最後に言い忘れました。作者様、こんな凄い作品を読ませてくださり本当にありがとうございます。これからも、お体に気をつけて更新をお願いいたします。
長文レビュー失礼しました。ここまで読んでくださりありがとうございました。