第7話子爵(元公爵子息)2
学園最後の年にドロシーが妊娠した。
避妊はしていたが絶対とはいえない。
ましてや、婚約者がある身で別の女性との間に子供を作ったのだ。
しかも相手は未婚の貴族令嬢。
両親からは叱責を受けた。
当然だ。
ダイアナとの婚約は白紙になった。
当然だ。
そして、公爵家の跡取りから外された。
これには流石に抵抗した。
だってそうだろう?
私は今まで公爵家を継ぐ者として必死に頑張ってきた。
それが「妻」が変更した位で「資格なし」の判断をされるとは思わなかった。家族同然の侯爵夫妻も何故か味方になってくれなかった。
公爵家が持つ爵位の一つを下賜された。「スーザン子爵位」だ。子爵位の他にも「伯爵位」があったのに何故か両親はそれを継がしてはくれなかった。
「伯爵位は高位貴族との付き合いも多くなる。公爵家の恥をこれ以上さらすことは出来ないし、お前の選んだ男爵令嬢が伯爵夫人をやれるとも思わないしな。寧ろ、子爵夫人ですら荷が重いだろう」
酷い事を言う。
更に侯爵家に支払う慰謝料と賠償金。
これを両親が肩代わりする代わりにある条件を突き付けられた。
「子爵位は飽く迄も公爵家が長男であるお前に貸し与えるもの。お前の死後は速やかに爵位を公爵家に返上すること」
「子爵家の領地は公爵家の敷地内にしてある。夫婦で住まう館も準備しているので移転は許さない」
「婚姻後、王家主催を除いては高位貴族のパーティーへの出席は出来ない」
「この先、お前達夫婦には何人も子供が出来るだろうが、妻から生まれた子は
「領地経営に関してはこちらが用意した
随分な内容だった。
一代限りの爵位というもの痛い。
なにしろ、爵位がなければ「平民落ち」は免れない。
自分の子供が「平民落ち」になることだけは避けたかった。
後、数ヶ月後にドロシーは出産する。
男であれ女であれ大変苦労する事は目に見えている。
高位貴族のパーティーに参加出来ないとなれば伯爵以上との婚姻が絶望的だ。結婚相手は自ずと下位貴族となる。娘なら爵位を受け継ぐ嫡男に嫁がすしかない。公爵家直系の血筋だ。相手は子爵であれ男爵であれ喜んで受け入れるだろう。
問題は息子の場合だ。
婿入り先は限られているだろうから剣術を磨いて騎士団に入団させた方がマシだろう。文官だと功績を認められるのに時間が掛かる。その点、騎士団ならば
その時の私は知らなかった。
下位貴族であるという事がどういうものなのかを……。
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